updated(first) | 05/04/2003 | last updated |
読書メモ 2003年4月 |
||||||||||||
この月も気分転換用の読書という感じです。 自分としてはなかなか気にいっている作品ばかりだけどややマニアックかもしれませんね。シェイクスピアは先々月に映画の特集で教えてもらってこれと「ジュリアス・シーザー」を買ったんですがこちらしか読み終われませんでした。 須賀敦子さんは完全にハマリましたね。図書館で借りられるだけ借りたら単行本をどうするか考えましょう。 この月はサリンジャーの「ライムギ畑でつかまえて」が村上春樹さんの新訳で出てましたね。これも近いうちに読みたいものです。 |
|
|||||||||||||||||||||
★感想 |
|||||||||||||||||||||
安藤哲也さんは出版社の販売・宣伝から書店員となった人。東京・豊島区南大塚の田村書店(2001年に閉店)の店長を経て、96年に東京・千駄木に往来堂をオープン。個人商店としては斬新な手法で業界の話題を集めるが2000年にオンライン書店「bk1(ブックワン)」に移籍。この本の出版後、糸井重里事務所へ移籍。 この本はそんな安藤さんの「本屋のおやじ」となるまでの情熱とバイタリティーにあふれた半生記。いわゆる「取次」からのおしきせのマーケティングに反発し、自分で書いたポップ文でお客さんの行動を予測してその反応に合わせて店の「棚作り」をしていく。その原動力がご本人いわく「あきっぽい」ところからくる遊びへの探究心だというのだから楽しくなってくる。当たり前のことをそのままにしないで、自分のしたいことを周囲の理解を得ながらやっていく。ある意味で理想的です。 随所に業界に対する批判も出てくるけど、ここまで言えたら爽快でしょうねぇ。 この読書メモでも今年から「bk1」の書評にリンクしています。安藤さんのコーナー「ブックス安藤」は残念ながら現在ではなくなっているようですが、こちらもおすすめ。 |
|||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
★感想 |
|||||||||||||||||||||
CINEMAの特集「生涯五指には入るこの映画!」でみなさんからいろいろな映画を紹介してもらいました。そこでシェイクスピアをいろいろと教えてもらってまた興味が再燃しまして10数年ぶりに読みました。 僕はこの2作とか「夏の夜の夢」「十二夜」などの喜劇が好きなんですね。セリフまわしがなんといってもしゃれてていいし、深刻にはならないところが好きですね。 |
|||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
★感想 |
|||||||||||||||||||||
須賀敦子さんのエッセイ。この本は須賀さんが翻訳を手がけたマルグリット・ユルスナール(1903-)の事跡を追って、ヨーロッパの各地を訪ねた数々の記録からなっている。 ユルスナールにしても須賀さんにしても何かを見てひっかかる、感銘を受ける点が似通っているような気がする。それはたとえば閉館直前の美術館で見かけた寂しげな子供の絵であったり、自分たちの加わった政治運動を「おそいハシカをわずらった病人みたい」と冷めた目でみることしかできないもどかしさであったり。見過ごしがちな微細な点を丁寧にすくいあげている。 どこまでもインテレクチャルでスノビッシュな文章だが、こういう文を読んでいると不思議と落ち着く。 |
|||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
★感想 |
|||||||||||||||||||||
「奇妙な味」の短編小説、軽妙洒脱なエッセイ、近年では歴史小説でも知られる阿刀田高さんのエッセイ。 文学論に多くのページが割かれていて、松本清張や中島敦、芥川龍之介などの作品に詳しく切り込む。また直木賞の審査に関わっている立場から現代の作家、また作家候補への批評、時には厳しい直言も。活字の衰退が叫ばれる中でも小説の力を信じ、小説家としての矜持に生きる筆者の意地が見える。 特に締め切りを守ることと作品の質にこだわることなら前者を優先する、なんてところがいかにも実作者らしい視点で面白かった。 他にも身の回りのことや時評などの短文が並んでいる。 この人の本、久々に読んだけどやはり文章は練られていてうまい。ただ僕の年齢だと首肯しかねる部分もいくつかあります。ここまで老成するにはやはり「年期」が必要ということかな。 |
|||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||
★感想 |
|||||||||||||||||||||
もう1冊、須賀敦子さんの本。これは翻訳をずっとされていた須賀さんの初めてのエッセイ。 1953年に初めてイタリアに行った時のことやコルシア書店のあったミラノでの生活を中心に書かれている。 この時点でもう彼女らしい文体はほぼ完成している。なにが特徴なのか考えてみたけど、終わりの一文なのかもしれない。本文とは距離を置いた述懐ともいえる文がバッと入っている。そして途切れる。 |
|||||||||||||||||||||
|