updated(first) | 11/8/2003 | last updated |
読書メモ 2003年10月 |
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9月はペイパーバックの「Catcher In The Rye」に手をつけたんですがこれがなかなか読めず、1冊も他の本が読めませんでした。この月はその反動で目についたビジネス書に比較的目を通したつもりですが。大体1日か2日通勤中で読めてしまう本ばかりです。 仕事の上でも論理的思考力というのはこれからますます必要とされてくるでしょうし、ビジネス書を時々は読んでいこうかな、と思います。 ま、この反動でまた小説なども読むこともあるとは思うんですけど。 |
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★感想 |
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ベテラン・アナウンサーの梶原しげるが「しゃべり手」の立場から「こんな言いかたはおかしい」「もっと伝わる口のききかたを」と概説してくれる。 テレビの新人アナでもついつい使ってしまう「おかしな表現」、ちょっとした言い回しでこんなに変わってしまう「危険な言葉」などわかりやすい語り口で一気に読める。 梶原さんは近年心理学のカウンセラーもされているそうですが、そちらで得た知識も豊富に取り揃えています。 なかなかの本ではないでしょうか。 |
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★感想 |
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9.11テロ、アフガン戦争、イラク戦争と続く激動の中で、アメリカの大きな流れに違和感を感じながらもそれを言葉にすることができないでいた。 テロや圧倒的な暴力に対して、より強烈な報復を「正義」と信じて強行する姿に「これは止め得ない動きなのか」と暗澹たる思いにかられたことも度々だ。 だからこの本を手に取ったのだと思う。バランスをとるために。 ブッシュ政権、それを支える「ネオコン」「新保守主義者」の背景、彼らの資産が形成されてきた歴史から、その行動原理、組織まで描かれている。 共和党の支持基盤の多くは中西部の広大な「貧しい」地域が占める。だがそこにある地下資源、石油ではなく石炭が電力供給の新しい主役となり、アメリカは新しいエネルギー大国としての実力をつけてきている。歴史的にはこの地域の鉄道・鉄鋼資本がアメリカの保守本流となり、ユダヤ人ロビーとの結びつきなどから確かな勢力を築いてきた。 彼らは「生まれながらのエリート」だが、ブッシュ政権の中枢を占めるのはより「アメリカの利益」(実は支配層である彼らの受益分)に敏感な人たちだ。その利益を守るためにはある意味で「戦争を望む」動きが顕在化していることにも気がつく必要がある。 更に彼らの唱える「対テロ戦争」がいかに非論理的で、石油問題の深刻化などアメリカの国益すら危機にさらしているのかについても詳述している。 現在(2003年10月)ではイラク戦争のそもそもの開戦理由とされていた「大量破壊兵器」の存在も疑問視され、それをパウエル国務長官も認めざるを得ないという状況だ。 ネオコンの主張に対してもアメリカ国内でも様々な意見が出てきているということだ。 とはいえ、ブッシュ政権に食い込んだこの勢力の基盤は強固なものだし、イラク派兵問題など日本の小泉政権もアメリカに追随しようとしている現状には変わりはない。 僕たちとしてもこういう世の中に住んでいるのだということはしっかりと認識しておく必要があるだろう。 この本の記述はやや感情的になっている部分が気になるけれど(「新保守主義者」への決め付け的な口調など)、そのあたりをわかって読めば大丈夫なのではないかと思う。 とはいえ立場によって受け取り方は全く違うだろうけれど。 逆の立場の本も読んだ方がいいかな。 |
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★感想 |
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ちょっとした努力で仕事の効率は上がるし、うまくいかないと思っていたことも、うまくいかない理由に気づいて、工夫次第でうまくいくようになる。 タイトル通り、仕事の改善術を書いた本。具体的には。 ルーティンワークを確実にこなす。ビジネス・マナー、クレーム対応、プレゼンテーション。 社内・社外でのコミュニケーション。キャリアアップに必要なスキル。英語力、ITスキル、財務能力に加えてチームワーク力も。 デジタル・ツールをうまく活用する方法。 業務、仕事として「こうすべきだ」という部分で迷うことは少ないかもしれない。そういった意味では当たり前のことが書いてある。 でも人間相手のことだから「こうした方が相手にとって気持ちがいい。受け入れられる」という部分ではわりきれない、あいまいな部分こそが大事だったりする。 そういったヒントも入っている。 両方とも大事ですね。 |
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★感想 |
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デフレ不況下、「モノが売れない」とはよく言われる。 そういう中で業績をあげている企業に注目し、その現場のノウハウを紹介しているのがこの本。 出てくる企業の中から共通項を探ってみると。 「顧客志向」から「個客志向」へ。 ものが売れないと言っても、中高年層の収入が全て減ってしまったわけではなく、「買ってもいい」とお客に思わせる「理由(インセンティブ)」を与えることができれば、ものを売ることはできる。 それにはそこのお店でしかできないプライオリティーを作り出し、「ここまでしてくれてうれしい」という感動をお客様に与えることが大事。ブランド力を上げるための具体的なやり方が出てきます。 財布のヒモは男性よりも女性が握っていることが多いので、ここを攻略することが鍵になる。 これなんかはよく言われてることでもありますね。 |
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★感想 |
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女優の黒田福美さんといえば1988年のソウル・オリンピック以来、「韓国通」ということで知られている。この本はそんな彼女がそもそも「なんで韓国にハマッたのか」を書き上げたエッセイ。 1988年、草思社から出版。 彼女はTVでバレーボール選手美萬守(カンマンス)のプレーに惚れこみ、「この人に会いたい」との思いが募り、NHKのラジオ講座で韓国語を勉強し始める。1984年のことだ。 その年の初めての訪韓。ここには多くのページが割かれているが、彼女の「韓国の人たちに飛び込んでいく姿勢」というのは文中からもにじみ出ているし、そうであればこそ短期間に多くの人と出会い、後に続く友情を育むことができたのだろう。特に黒田さんのことをビザ紛失事件、酔っ払ったときのフォローなど数々のトラブルを親身になってサポートしてくれる、実直なサラリーマンK氏とのほほえましい関係は印象的だ。韓国の料理、ファッションの話も印象深いが、軍隊に行くのが当たり前という若者の話に平和な日本との意識の落差にショックを受けたりする。 日本に帰ってからも彼女は東京に住む在日韓国人の人たちや韓国から来る友人たちと交流を続ける。その中で得られた体験は決して楽しいものばかりではなかったけれど、女優という立場がまだ不安定だった彼女にもう一つ「人間としての」軸足のようなものを作ってくれる。なんてこともこの本で知ったことだ。 日韓問題をめぐる問題は簡単ではない。 TVや雑誌にこの問題を扱ってもらおうと訴えてみるが、まず所属事務所から「こういう問題には立ち入らない方がいい」と反対され、ちょっとしたトラブルが大事になったり、一筋縄ではいかない。 そういった出来事の詳細も明かされるが、情熱やそれを支えてくれる人たちの力で、徐々に状況は好転していく。 ソウル・オリンピックの際の嵐のようなマスコミ取材については直接は触れられていない。 だが最後に夢だった美萬守(カンマンス)選手と2度目の出会いを果たすところはきっちりと描かれている。 外国が相手であっても、人と人をつなぐのは「個人」としての自分でしかない。 そんなことを感じました。 解説は「世界・不思議発見!」のディレクター、浦谷年朗氏。 |
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