updated(first) | 10/02/2002 | last updated | |||
updated(3rd) | 01/28/2004 |
特集 : つかこうへいとその世界
(1)劇作家としてのつかこうへい |
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(1)劇作家としてのつかこうへい今回の特集は劇作家・舞台演出家・小説家のつかこうへいです。 「BOOK」としては異例ですがこの人を語る上で演劇・舞台を外して語ることはできないのでまずはプロフィールも含めてつかこうへいの演劇について。
*「COLUMN」の 【つかこうへいの舞台についてゴニョゴニョ 】と 【観劇記 「飛龍伝」 演出:つかこうへい】 も合わせてご覧ください。 *入手別の表記について 再アップ(2004年1月28日)に際して、現在入手しやすい方法としてAmazon での購入ページをリンクしなおしました。ただしこの特集を組むにあたり、僕が利用したのは公立図書館の貸し出し本が主で表記もそちらのデータを基にしておりますので、ご了承ください。 |
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★感想 |
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「つかこうへいの戯曲・映画シナリオ・テレビ台本を、現在書かれてあるもの及び将来書かれるものすべてにわたって収録していく予定」(解題による)の戯曲全集。 あとで出てくる「つかこうへい傑作選」と重複する作品もあるが、これは「その時の最新版の脚本」を収録しようとしたものなので、つか演劇のファンには読み応えのある本だと思う。 各巻の内容についてはamazonのデータをご参照下さい。 |
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★感想 |
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つかこうへいの著作は角川書店・角川文庫で入手できるものが多かったのですが、2002年秋現在、書店の店頭では見つけるのが難しい本が多いです。注文すればいいのですが。 そこでつかこうへいの全集をもう一つご紹介します。これも出版が若干古いので、新刊本で見つけるのは難しいかもしれませんが、公立図書館では置いてあるところもあるのではと思います。僕は7冊とも見つけました。 以下全7巻の内容を紹介します。この全集は小説と戯曲、エッセイをテーマに沿って収録した新編集版でここでの初出もあります。 第1巻:小説版「蒲田行進曲」、「銀ちゃんがゆく」、戯曲版「銀ちゃんが、逝く」 第2巻:エッセイ「つかへい腹黒日記」「つかへい腹黒日記Part2」「つかへい腹黒日記Part3」 第3巻:小説版「広島に原爆を落とす日」、「愛人刑事」 第4巻:エッセイ「傷つくことだけ上手になって」「つか版女大学」「つか版男の冠婚葬祭入門」 第5巻:小説版「ジャイアンツは負けない」「長島茂雄殺人事件」、戯曲版「長島茂雄殺人事件」 第6巻:戯曲版「郵便屋さんちょっと」「初級革命講座飛龍伝」、映画シナリオ版「菜の花配達便」、など7篇。 第7巻:戯曲版「寝取られ宗介」、映画シナリオ版「寝取られ宗介」、「薔薇ホテル」、小説版「かけおち」、「二代目はクリスチャン」 |
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★感想 |
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「蒲田行進曲」を全面的に書き直した決定版。 元になっているのはあとで紹介する「銀ちゃんが、ゆく」。 1994年初演。 「蒲田行進曲」から5年後。銀ちゃんと小夏の子ルリ子も5歳となった。しかしルリ子は新種の難病ウィルブランド病に侵されていた。銀ちゃんにもう1度新撰組の映画で「階段落ち」の話が来る。小夏も女優復帰し、沖田総司役で「銀ちゃんの土方歳三を斬る!」ことに。 二人の愛は今最終章を迎える。 舞台ならではの構成としては。 小夏の立ち回りが増えている。これはアクションのできるよい女優を得たためだろう。 銀ちゃんの先輩若山馬之助と歌舞伎の大物中村屋喜三郎というキャラクターが設定され、彼らの「業」も描くことで重層的な迫力のある舞台になっている。 逆にヤスの出番は大幅に減らされている。銀ちゃんと小夏、ルリ子の愛の葛藤に焦点を絞りたかったのだろう。ヤスはいじると重すぎるキャラクターだし、小説の方で充分に書き込んでいるので。 銀ちゃん、そして小夏演ずる「総司」が「死んでゆく娘」ルリ子に「男と女の愛」を語り、自らの身体をはってそれを証明していく様は舞台ならではの迫力だ。このセリフを直接ぶつけられたら「震える」しかないだろう。 そして衝撃のラスト・シーン。ここに「蒲田行進曲」は怒涛のフィナーレを迎える。 |
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上記の「つかこうへい傑作選」(メディアファクトリー)の第1巻にも収録されています。 |
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★感想 |
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「熱海殺人事件」には基本構造がある。 まず舞台となるのが警視庁の某署の取調室の一室であること。容疑者大山金太郎、捜査側に木村伝兵衛部長刑事、部下のA刑事(何回か名前が変わっている)、応援でやってきた熊田留吉刑事、この4人しか基本的に登場しないこと。 大山は山口アイコという幼馴染の少女を殺してしまったが、その動機を取調室で「作り上げていく」こと。この部分は劇中劇で行う。 この基本構造だけを守って幾多のバリエーションを生んできたこの舞台。 今回の売りは「木村伝兵衛が女に!」。初演では大分つかこうへい劇団の由見あかりが演じたが、彼女に合わせて設定が大きく変わっている。伝兵衛が女になることで取調室は大山と熊田との擬似三角関係の舞台となり、事態はラブ・コメディーの様相を帯びる。A刑事(ここでは戸田刑事)がホモという設定になって大山にせまるのもすごい趣向だ。 そして動機。これが毎回凝っていて深刻なテーマなのだが、今回は九州の五島列島からやってきた山口アイコが五島の恩人と言われる在日朝鮮人李大全に売春させられていた。それを知った大山が、というもの。熱海殺人事件としては(殺人現場が熱海でこそないものの)原点に戻った感じでシンプルな設定だ。その分女木村木村伝兵衛(女になっても毒舌の強烈さ、下ネタ連発の「熱い女」であることに変わりはない)のド迫力、4人のスピーディな体技に観客の目はいく。僕はこれはたしか紀伊国屋ホールで見ました。熱演でした。 当時のコピー「いま義理と人情は、女がやっております。」も爽快! |
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