ホームへ戻りますシネマトップへ updated(first) 03/30/2003 last updated


活きる (1994、中国、日本初公開は2002年)
監督  : チャン・イーモウ(張芸謀)
出演  : コン・リー、ゴオ・イオウ、他

チャン・イーモウ監督の代表作の一つ。この作品は1994年のカンヌ映画祭審査員グランプリと主演男優賞を受賞したがなぜか日本では2002年まで上映ができなかった。

第2次大戦後の中国の民衆の「下からの視線」で描かれている。イーモウ監督の当時のヒロインといえばコン・リーだが、彼女とその夫を演じたゴオ・イオウが素晴らしい演技を見せる。
資産家の息子フークイ(ゴオ・イオウ)は賭博がやめられず、無謀な勝負を挑んで全財産を失う。彼の身重の妻チアチェン(コン・リー)は愛想をつかして実家に帰り、そこで男の子を産む。フークイはそこに頭を下げて居候の身となる。フークイは得意の影絵芝居を始めるが、時は国民党と共産党の内戦時代。彼は国民党軍に徴用され、戦場で命からがら生き続ける。ようやく内戦が終わり、家族の下に戻ってくる。時代は流れ、彼ら一家はけなげに生き続けるが、そこに大いなる悲劇が訪れる。

画面は終始地味だけど、庶民の生活をいきいきと描いている。特に洗濯や食事のシーン、コン・リーの無言の「笑顔」が印象的だ。後半に訪れる悲劇は彼らの生活をドン底に落とすような救いのないものだが、それでもやはり生きていく、たくましさが涙を誘う。
あえて欠点をいえば「しょうもない人」は出てくるけど悪人が出てこない作品なので、現実味にとぼしいところか。でもこの監督にそういう要素を求めている人はあまりいないと思うので個人的にはプッシュしたい作品。


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