ホームへ戻りますシネマトップへ updated(first) 05/11/2003 last updated


ロード・トゥ・パーディション (2002/アメリカ)
監督  : サム・メンデス
出演  : トム・ハンクス、ポール・ニューマン、ジュード・ロウ、タイラー・ホークリン、ジェニファー・ジェイソン・リー、スタンリー・トゥッチ、ダニエル・クレイグ、他


トム・ハンクス、ポール・ニューマン、ジュード・ロウという新旧の大スターが組んだマフィアもの。

1931年冬、イリノイ州のロックアイランドという田舎街。マイケル・サリヴァン(トム・ハンクス)は妻と二人の息子と穏やかに暮らしていたが、アイルランド系マフィアのドン、ジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)の仕事にも深く関わっていた。ルーニーの息子のコナー(ダニエル・クレイグ)は怠惰な性格で口論から仲間内のフィンを射殺。その現場を見てしまったマイケルの12歳の息子マイケル(同名、ちなみに劇中では父親の方は愛称の「マイク」と呼ばれているので以下そう記述。タイラー・ホークリン)は、「組織」からマークされる。マイクは話し合いの場を設けるが、組織の意思は固く、家に残っていた妻と次男は殺されてしまう。二人だけになった父子は銀行強盗で資金をつなぎながら逃亡する。目指すのはシカゴだ。
シカゴではイタリア系マフィアのドン、フランク・ニッティ(スタンリー・トゥッティ)に仲裁を頼むが、ニッティはルーニーとの信義を選び、二人に「殺し屋」マグワイア(ジュード・ロウ)を差し向ける。
行き場を失ったマイケルらは叔母サラの住むパーディションという街へと向かった。旅路の果てに彼らが見たものとは・・・。

すごく良かった。父親を演じたトム・ハンクスがなんと言ってもいい。情愛にあふれた父と、冷酷な殺し屋としての二つの面を持つ男をシリアスに演じてます。この人の演技の幅広さの一端をようやく知れたかなぁ。敵役ではジュード・ロウのかっこよさが抜群ですね。得体の知れない殺し屋を飄々と演じてますが、やっぱり色気のある人ですね。特に向かいのアパートメントでかすかに揺れるカーテンからマイク(父)が来ているのを察知して接近していくシーンなどドキドキものです。ポール・ニューマンの役はマイク(父)に親子のような情愛を感じていながら、実のダメ息子に引きづられて彼らを殺すという結論を出すという役どころ。まぁ可もなく不可もなく、ですが終盤のトム・ハンクスとのシーンはさすがの渋さです。それからフランク・トュッティもすごくよかったんだけど、こうしてみてくると、「純正のマフィアもの」並に男役にイイ役者が揃っている。「アンタチャッタブル」以来の傑作という声もあるそうだけど、確かにマフィアものに欠かせない、独特の緊張感、乾いた感覚、非情なシーンは備えている。

ただそれだけじゃないのはやはり「ふたりのマイク」の関係や、ルーニー親子を対比させて表されているような「親子もの」「ヒューマン・ドラマ」としての側面。物語全体をマイケル(息子)の回想という形で描いてるんだけど、単純にマフィアものにしなかったことで誰が見ても楽しめる良質な作品になったんじゃないかな。12歳の息子に「生きるためだ」と車の運転や銃の撃ち方を教える(しかもそれがしっかり役にたってしまう)父親の気持ちはどんなものだったんだろう。

トーマス・ニューマンの手がけた音楽も重厚でドラマティックな雰囲気を盛り上げておりとてもいい。


気に入ったセリフ。というよりも覚えがきのようなもの。
マイケルがラストでつぶやく

...My father’s only fear was that his son would follow the same road.
And that was last time I ever held a gun.

父が望んだこと。それは息子に「自分と同じような道」を歩いては欲しくないというものだった。
ちなみにタイトルの「Road To Perdition」。
perditionとは二人が逃げ込んだ街の名だが、三省堂「EXCEED 英和辞典」によると
n. (霊魂の)喪失, 地獄(に落ちること); 〔古〕 滅亡, 全滅.
という意味だということ。
そして息子はそうならなかった。
しみじみとした余韻が残る。


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