ホームへ戻ります シネマトップへ updated(first) 03/04/2003 last updated


特集: 生涯五指には入るこの映画!

Intoroduction

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(10) モグ さんのレビュー
アギーレ・神の怒り(1972/西ドイツ)
監督  : ヴェルナー・ヘルツォーク
出演  : クラウス・キンスキー ヘレナ・ロホ
デル・ネグロ ルイ・ゲラ ペーター・ベルリング
セシリア・リヴェーラ ダニエル・アデス
エドワード・ローランド アルマンド・ポラーナー


ポポル・ヴーの幽玄な感じの音楽が流れ、霧に包まれたオープニングが終わる
と、ところどころ霧が晴れてきて、切り立ったアンデス山脈が見えてきます。そ
の鬱蒼とした山の中を隊列が進んでいるのがどーんと見えたあたりで、この映画
が描く狂気が生半可なものじゃないことが伝わってきます。
 話はエルドラドを探し求めるアギーレが仲間と共にアマゾン川を下る…という
ものです。アギーレはもともと欲望に支配されてる男ではありましたが、次々と
起こる困難の中でどんどん狂っていく様は圧巻です。まぁ、こんなジャングルの
中を甲冑をつけ、ドレスの姫君をつれ、輿に乗って進んでいくという事自体、狂
っているのですが。とにかく、クラウス・キンスキーの狂気の様がものすごい!
!部下を脅したり、裏切り者を殺したりするんですが、その様は淡々としていて
、そのせいかなおさら恐ろしいのです。そしてここで描かれる自然の恐ろしいこ
と!人間には扱えないという点では、狂気のアギーレ以上に狂気を感じます。自
然が狂っているっているというのはおかしいんですが、狂気のアギーレが持つ禍
々しさと原生林が持つ禍々しさはどこかにつながるものを感じるのです。アギー
レの狂気が最後に到達するのは神話の世界で、彼はまさに荒々しい神となるので
す。そのラストシーンがまったくもって素晴らしい!!観る人によって、いろい
ろな解釈ができるんじゃないでしょうか。
 それにしてもこんなジャングルで何ヶ月にも渡ってロケを強行させたヘルツォ
ーク監督はすごいと思いますよ。あまりの過酷さに原住民の役者は逃げ出すし、
主役のキンスキーでさえやめると言い出したのを、「クラウス!お前を殺して俺
も死ぬ!!」といってピストルを突きつけて、言うことを聞かせたという逸話は
あまりに有名?!まぁ、それは度が過ぎるキンスキーのわがままを諫めるためだ
ったらしいのですが。猛獣のようなキンスキーと人間を拒む原生林を相手に、こ
んなスゴイ映画を撮っちゃうヘルツォーク監督が一番狂ってるのかも…


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