ホームへ戻ります シネマトップへ updated(first) 03/04/2003 last updated


特集: 生涯五指には入るこの映画!

Intoroduction

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(19) 街 さんのレビュー
『ロードオブザリング』 (2001/アメリカ、ニュージーランド)
監督  : ピータージャクソン
出演  : イライジャウッド・ビゴモーテンセン・ショーンビーン・イアンマッケラン他


確か「ハリーポッター賢者の石」公開直後の映画だと思ったが、「ハリーポッター」
でガッカリしたワタクシはあまり気乗りしていなかった。どうせ同じようなモンで
しょって。
子供・魔法・冒険・おとぎ話・・もう、ワタクシの嫌いそうな要素てんこ盛りだ(と
思ったからだ)。だからその当時も観るつもりは無かったし、今回も借りるつもりは
無かったんだけど・・

昔々の戦闘で行方がわからなくなっていた冥王サウロンの指輪をホビット村の住人が
持っていた。その指輪を取り戻すためにサウロン軍が村にやってくるが、イアン
マッケランの機転でホビットの若者イライジャウッドに指輪を託して村を脱出させる。
指輪を破壊するには、サウロンが指輪を作った火山にその指輪を投げ捨てなければな
らない。たどり着けるのか・・という映画だ。

いやぁまいりました。これはおもしろい!
斜に構えてあまり乗り気じゃなかったワタクシは、徐々に映画に引き込まれていった。
映画は、クライマックスをどこに持ってくるかで観客を引っ張れるかどうかが決まっ
てくると思うのだが、3時間近く全く飽きさせないこの展開は、作品内で『「静」
と「動」のバランス』がちゃんと保たれていて、うまくそれが配分されているからだと
思う。
いつも「動」ばかりだと大味で慢性化してくるし、いつも「静」だとまったりとして
間延びしてしまう。その辺のバランスが絶妙なのだろう。ところどころにクライマッ
クス(らしい描写)があって、ドキドキもするしハラハラもする。
それとCG。かなりロケが多いんだと思うが、スタジオ内での撮影とロケ、そしてCG
を駆使した映像との合成に無理がない。
ストーリーもかなり凝っていて、次から次へと危険が迫りそれを乗り越えていか
なければならないようになっている。ホッとしたのもつかの間って感じ。
キャストもひとりひとりに味があって「捨てキャスト」みたいのがいないのもいい。
ただ、カタカナの弱いワタクシには登場人物の多さと地名や専門用語がどんどん
出てくるので大変だが。初めなんか、地名なのか人名なのかわかんないのも多々あっ
たりした。

CGについて褒めたが、煙草を吹かして煙で遊ぶシーンや、爺さん同士の対決で最後に
イアンマッケランが塔の上に飛ばされるシーンなど、ところどころにチャチいところ
も数箇所ある。それと、サウロンからの刺客が前半はとっても恐怖感たっぷりに
描かれていて、木の根の下に隠れている時などドキドキしたり追い詰められる恐怖感
みたいなものがあったのに、子供相手にアッサリと退却してしまったあたりは「おぃ
おぃ」と思ったものだ。また、出てくるモンスターがちょっとありきたりだったりと
か、それにまたがる人間が人形に見えたとか、まぁあるにはあるが全然許容範囲内。

誰だ?この映画と「ハリーポッター」を比べたのは。ダメダメ全然別物。「ロードオ
ブザリング」を伊勢丹とすると、「ハリーポッター」はイトーヨーカドー。実際
のイトーヨーカドーにはいいところもたくさんあるけど。子供が出ていて冒険モノで、そ
れでCGもとなれば比べたくもなろうが、そもそも内容が全然違う。作りこみ練りこみ
が全然違う。

個人的には「パトリオットゲーム」や「サウンドオブサイレンス」で悪役を演じでい
たショーンビーンがとっても良かった。レゴラス(実際の名前は知らない)は、何だか
山咲何とかっていうオカマの漫画家に似てたな。カミさんは窪塚に似てると言ってい
たが。
エルフの王妃ってのが出てくるんだけど、噂ではとっても妖美な雰囲気でヤバイ
魔女って感じだったはずなのに、出てくれば学芸会のお姫様役みたいな女性でコケ
てしまった。もっと他にやりようがなかったのか・・ってか、他に誰かいなかったのか・・
あとリブタイラー(とその場面)っていらないでしょう。この人が出てくる場面だけ寝
たくなった。何だか物欲しそうな目で見つめるんだよね。男欲しそうに。役どころと
言えばラブシーンくらいか。続編で重要な役柄になるかもだけど、こういう女優
が出てくると見せ場を欲しがって過剰な演技をするから嫌い。危うくベタベタイチャ
イチャ映画になるところだった。アブないアブない(ホッ)。

エルフで「この指輪をどうするか」という会議みたいのをやった時の段取りなん
かもコントタッチで興ざめ。何でわざわざあんなところでコントっぽくしたんだろう。息
抜きだったのだろうか。ここでトイレ行って下さいって。子供向けのサービスシーンかな。

それと、延々音楽が流れているのだが耳障り。聴き疲れた。弦が奏でるメロディ
で場面場面を説明し過ぎだと思う。ただ、以前「オーメン」なんかもそうだが、合唱曲は
おどろおどろしい様がよく表わされていていい。これも多用されたらしつこくなるか
もだけど。
まぁ何にしても、おもしろい?と聞かれればお勧めと答える映画。偏ったジャンルが
好きな人も、それを問わず楽しめるのではないか。一見の価値ある映画だと思う

「ハリーポッター」が先に公開されるのは一種の戦略かもしれない。「ロードオブザ
リング」が先だったら「ハリーポッター」の稚拙さがバレバレになっちゃうし。
そうは言っても、1作目の興行収入は「ハリーポッター」が「ロードオブザリング」
の倍くらいだったそうだ。ワタクシが思うに、過剰なまでの前宣伝&前評判に乗せら
れて「ハリーポッター」を観に行ったものの、「時間返せ」「金返せ」の大合唱とな
り次の「ロードオブザリング」も同じ様なものだと思い足が遠のいたのではないか。

あ、それはワタクシか。


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