ホームへ戻ります updated(first) 12/09/2003 last updated




【一期一会】


楽天の「コラボ日記」に発表した「一期一会」です。
「出あい」というテーマでしたが、僕はこんな「出あい」について書いてました。

   


「一期一会」という言葉が好きだ。
初めて会った人に対して「この人には2度と会えないのかもしれないのだから」という気持ちで誠心誠意接していく、そんな意味だと思っているんだけど。
ま、その結果、それが2回になったり3回になったりすることもあるんだろうけれど、
それはまた別の話。


以前ホテルに勤めていたことがある。
都内にある外資系の高級ホテルで客室清掃、いわゆるベッドメーキングのバイトを半年ほどしていた。

ホテルにいらしてるお客様に対してはもちろんこの「一期一会」の精神で臨んでいたんだけど。
今日はその一つを書いてみようと思う。
当然本人が特定できるようなことは書きませんが。

秋頃、白人の年配のご夫婦が何泊かされた。
ご主人の方が風邪をひかれてるということで
奥さんはそのことをとても心配してるようだった。

こちらとしても掃除中にもできるだけ、埃や雑音は立てないようにしていたけれど、
彼は椅子にかけたまま辛そうにしていた。

ひととおりの掃除が終わって部屋を出たが、奥さんが廊下まで走ってきて
(正確にはなんと言われたのか覚えていないのだが)、
「クリネックスをいくつかくださいませんか?」
と頼まれたのだ。
それでそのホテルの客室のティッシュペーパーって実は置く数が決まっているんだけど、
ティッシュを一箱持って行ってあげた。
そのときかけられた「Thank You!」
の一言は忘れられないな。

その部屋には偶然そのあと2日、ご夫婦がチェックアウトする日までつくことになった。

2日目にはご不在のときに掃除していてお二人が帰ってきたので、
反射的に
"It’s Me."
と答えてしまった。あとで調べたらこれは同格の人につかうくだけた言い方で
適切じゃなかったんだけど。
でもお二人ともなんとも言わなかったな。こちらの英語レベルもおそらくわかっていたのだろうけど。

3日目。
チェックアウトの際には奥さんの方からこちらに話しかけてきて
「あのときは本当に助かった」というようなことを言われた。
旦那さんも少しよくなったようだったけれど。


このバイトは正直僕には向いてない部分もあって
かなりきつかったんだけど、こんな風に
お客さんに励まされることは多かったな。

「一期一会」というのはこれからも大切にしようと思います。


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