Black Pepper’s Blog

29日に公開されたばかりのチャン・イーモウ監督の新作「LOVERS」を観てきました。
金城武とチャン・ツィイー主演の恋愛映画、「HERO」に続いてのアクション超大作としての側面も持つ力作でした。

LOVERS　（2004年　/　中国、アメリカ）

写真クリックで公式サイトへ　（曲が流れますのでご注意を）

監督・脚本：チャン・イーモウ
アクション監督：トニー・チン・シウトン
美術：フォ・ティンシャオ
衣装：ワダエミ
出演：
金城武
アンディ・ラウ
チャン・ツィイー

(あらすじ　goo映画　）
唐の大中13年、凡庸な皇帝と政治の腐敗から各地に叛乱勢力が台頭。その最大勢力「飛刀門」討伐の命を受けた県の捕吏・劉は、前頭目の娘と目される盲目の踊り子・小妹を捕える。口を割らない小妹に対し、劉は同僚の捕吏で武芸の達人である金とともに、ある計略を謀る。それは身分を偽った金が小妹を救い出し、その信頼を得て飛刀門の拠点に潜入するというものだった。目論見通り、小妹は金との逃避行を開始。劉も金と密通しながら２人の後を追う。だが３人の行く手には、それぞれの思惑と愛憎が絡む宿命の物語が待ち構えていた…。

ワイヤー・アクション、ワダエミの華麗な衣装、中国の「武侠」の流れをくむアクション主体の「情の濃い」ストーリーと、基本的なラインとしては前作「HERO」を踏襲している。

チャン・ツィイーは「グリーン・デスティニー」「HERO」近作とワイヤーアクションの大作に次々出演。「がんばっててけなげ」という感じはよく出ているとは思うけど、正直アクションに向いている人とは思わない。
今回のも遊郭で自分の回りを取り囲んだ太鼓（つつみ）を出た「音」に合わせて布で正確にはたいてその音を再現するっていうシーンとかアイデア的には面白いものも多かったんだけど。
まぁ単純にアクションにもう少しキレが欲しいかな、と。
ただ「盲目」だという演技は確かにそう見えてたので的確だし、うまいと思いますけどね。

金城武は無難でしたね。
彼の役（金）は小妹（シャオメイ＝チャン・ツィイー）の信頼を勝ち取るためにともに逃避行し、味方であるはずの一門から追われ、仲間を倒さなければならないというジレンマに苦悩するのです。
最初余裕をもっていた小妹との関係にいつしかのめりこんでいって、
ということで2人のラブ・シーンもあるにはある。
でもまぁ「かわいい」「きれい」なものでしたけど。

彼のアクションもけっこう良かったけど、どっか骨太な感じがない。
主演の2人がこんな感じなので、アクションとしてよりもラブ・ストーリーとしての色彩が強く感じられた。

アンディ・ラウ。怜悧な獄吏で武道の達人でもあるという劉という役。
けっこうこの役が情が濃くて、金とも親友だけど任務のため彼と小妹を追わなければいけない。
更に小妹ともかつて愛し合っていて劉の方は今でも彼女のことを愛している。

まぁ金城君とチャン・ツィイーのラインだけだとストーリー的に一本調子なんでいたほうがいいキャラですね。

中国の大自然をダイナミックに撮影。
チャン・イーモウの特徴として
・「シンプルな絵を正面から撮る」こと
・色のバランス、コントラストが鮮やか
があるかと思うけれど、その部分のつくりこみがすごくて映像には
説得力がある。

アクションのアイデアも誇張しすぎてて笑えるものもあるけど、
たとえばジャッキー・チェンの演技に感じるような「やりすぎ」感はない。
どこか上品なんだよね。
これも好き好きかなと思うけど。

僕としてはデビュー作「紅いコーリャン」から「初恋のきた道」などにも通じる「中国の普通の市井の人々」の生活をこまやかに描いた作品がとても好きだったので、イーモウ監督にはそろそろそういった作品もまたつくってもらいたいな、という希望もありますね。
今回もハリウッドの協力を仰いだということでそのからみからアクション大作づいてるのかもしれませんが。

ともあれ「HERO」が気に入った人なら観て損はしない映画だと思います。

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