東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編
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メディア総合研究所 2005-05
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なんだか大げさなタイトルだけど、ほとんどまんまで(笑)。
ジャズ・ミュージシャン・文筆家の菊地 成孔(なるよし)と大谷 能生(みきお)が2004年に東京大学駒場キャンパスで行った講義の模様を再構成した本、になる。
アルバート・アイラーというのは1960年代のフリー・ジャズを一気にかけぬけたちょっとおかしな人で、あえてこれをタイトルに持ってくるあたりのとんがりぶりがまぁ、和むというか、ねらってる感じ。

講義では2人の話とともに実際にCDJを使って音源をどんどんかけていったということで、そのあたりの「好きな曲かけちゃいました」的なザックバランさがまた面白い。

Jazzを語るにしても
縦軸としてその時代背景、それに音楽理論の進展や当時の風俗・社会の様子を歴史的にさらさらと(ダラダラと?)面白く語り。

横軸として当時のポピュラー音楽(ロック、R&Bにファンクから現代音楽、MIDIを駆使した電子音楽まで。Jazzが与えた影響、逆にJazzに取り入れられた要素も多い)、ビートルズ、モータウンサウンド、ジェームズ・ブラウン、YMOなどなどをJazzと並列でかけ、他ジャンルへの目配せも忘れない。

それと菊地は演奏家なので、その実際の譜面、コード譜を教材に
「音楽がこういう風に作られてるから」
といったしっかりとした裏づけのある話も展開される。これは強い。

こうすることで見えてくるもの。
例えばJazzの解説本(僕もそれなりに読んでしっかり影響も受けたりしたんだけど)って評論家、リスナーが書いたものがほとんどで。
そういうのって「Jazzはこうで~」といった1つのジャンルの「型」にそって話が展開していて、実はどの本を読んでも似たりよったりだったり(笑)。そういった「狭い」世界の心地よさなんてのもあったりするんだけど。

1度ジャンルの壁をとっぱらって、しっかりした「実学」のもとに
組みなおしてみると、埃をかぶった「歴史」がまた違った印象になるんじゃないだろうか。

僕はですね(笑)、これ読みながらマイルスの「カインド・オブ・ブルー」や「クッキン」を聴きなおして「こんな聴きかたもあるのか~」とすごく新鮮でした。
1960年代以降のフリー・ジャズ、現代音楽や電子音楽で聴いたことないのがまだたくさんあるのでそちらへの興味も湧きましたね~。

(読了日 2005/10/23)







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