Black Pepper’s Blog

「踊る大捜査線」チームが日本人のソウルフード「うどん」をテーマに挑んだ娯楽大作。
讃岐うどんといえば数年前「恐るべきさぬきうどん」がベストセラーになるなどブームを巻き起こしたがこの映画はその著者　麺通団に取材し、ブームの裏側にある弊害、それでもうどんを愛する讃岐の人々のこころを描く。本広克行監督は香川出身ということでちょっとした風景、人々の描写も素朴で自然だ。

UDON（2006年　/　日本）

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監督: 本広克行
出演:ユースケ・サンタマリア
小西真奈美
トータス松本
鈴木京香
片桐仁
ほか

(あらすじ　goo映画　）
「世界を笑わせてやる！」と一流コメディアンを夢見て単身NYに渡った松井香助が、返し切れないほどの借金を抱え、一度は捨てた故郷・香川に舞い戻ってくる。製麺所を営み、日々黙々とうどんを打ち続けるがんこ一徹な父親は「なにしに帰ってきた」とにべもない。それでも、親友・庄介の紹介でタウン情報誌「さぬき」に職を得た香助は、香川名物さぬきうどんのコラムを企画し、やがて空前のうどんブームが巻き起こるのだが…。

やられた。

当初コメディアンの夢に敗れて故郷に帰ってきた男の
「再サクセス・ストーリー」（誰も当たり前に食べていて興味を持っていなかった
「田舎のうどん」を再発掘し、ブームを巻き起こす）
と思ってみていたんだけどそれだけじゃなかった。
ブームによって失われるもの。
県外から来るたくさんのお客の出すゴミ、
周囲への迷惑から閉店までするうどん屋さん。
単なるブームを面白がるだけではない視点は香川出身の本広克行監督ならではか。

市内の有名店だけでなく郊外の隠れた「ふつうのうどん屋」にまで目を広げたのが
「恐るべきさぬきうどん」のすごいところだった。
だけどその中心人物の香助が実家のうどん屋がいやで出て行った、親にも認められていない
アウトサイダーだということは誰にも知られていない・・・。

香助は讃岐うどんがブームを巻き起こし、
そのブームがやがて去り、タウン誌から撤退するとき
折り合いの悪かった親父に「うどん作り」教えてくれと
頼もうとする。
だがその直後親父が急死。

みなに愛されていた「田舎のうどん」の味を再現しようと
素人ながらうどん作りに励む香助。

ズルいなぁ。
生前には決して素直に言葉を交わすことのなかった父と子。
それが「うどん作り」という同じ作業を通して
「父のやってたこと」を「理解」していく。
小憎らしいまでの場面だ。

小西真奈美との恋は薄口過ぎて物足りなかったけど、
うどんから普遍的な家族愛にまで行き着いてしまった
この脚本はすごくいい。
それに自然にうどんが食べたくなる画面は大げさだけど効果的。

オイシイ映画です。

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