重松 清 / 流星ワゴン
Book流星ワゴン | |
重松 清
講談社 2005-02 おすすめ平均 |
過去って変えられるのか?
主人公永田一雄は38歳。同い年の妻と中学生の息子がいるが、息子は中学受験の失敗から家庭内暴力に走るようになり、妻は無断で外泊することも増え、会話もなくなる。そして一雄自身は会社からリストラをつきつけられる。
「死んじゃってもいいかな」
そんなことをふと思ったとき、異世界からのワゴンとそこにしばられた「幽霊」のような親子に出会い、「ありえたかもしれない」過去へのやりなおしの旅を始める。
一雄は今は脳卒中で死の床にあり、その頑固さから疎遠になっていた父ともう1度出会う。なぜか今の自分と同じ年齢のときの彼と。
親子は絡まない会話でありえないときを過ごす。
人があるきっかけで転落したり、「ここからやり直せたら」と痛切に
だからこそ盲目的に願うこと。
そんな「夢」がかなってしまったらというちょっと怖い話。
もちろんファンタジーだし、そういったオブラードに包んではいるんだけど。
過去の改変はできない。
そういった意味ではこれは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のようなハッピーな話ではないし、ギシギシときしんだ音をたてているような家族の自画像はそう簡単には修復出来ないだけに痛々しい。
ただこの話は決して絶望を与えるものじゃない。
つらいからこそ、優しくなれるし、一歩踏み出せる
そんな強さと救いをもったラストにはこころ動かされる。
まぁ重いけどね。
(読了日 2006/9/28)
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