知的生産者たちの現場 知的生産者たちの現場
藤本 ますみ

講談社 1987-05
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梅棹忠夫氏の「知的生産の技術」というのは僕でも書名を知っている情報整理本の古典(1969年刊)。この本はその梅棹氏の京都大学時代8年間研究室の秘書をつとめた人が書いた梅棹研究室のあの日、思い出、ノウハウがつまった本。

知的生産の技術は「京大型カード」と呼ばれるカードによるラベリング、分類、で当時一世を風靡したという。情報整理法としては[KJ法」と同時期でのちの野口悠紀雄氏の「超」整理法などにも影響を与えたと思われるが、なにしろ当時はパーソナル・ユースのコンピュータなどはまだない。実際の紙・カードによるラベリング、フォルダというのはほんもののファイリング・ケースだ。新聞の切り抜きなども懐かしいなぁ。
梅棹氏が考案、改良した「ひらかなタイプライター」を筆者が必死に練習することから仕事が始まる、などなど。

そんなこんなで今日ではコンピュータで置き換えられていること実際するためにはやはり一手間も二手間もかかったというのが実情らしい。

それに研究室を訪れる人々。梅棹氏自身もものすごく忙しいのに「人に仕事を任せる」(自主性のない人ではこの職場は務まらないだろう)鷹揚な人物で、しかも面白い部分が抜けている。
また氏が専門とした文化人類学というのはアフリカなどへのフィールドワークと机上の理論と両輪でまわっており、そういうのが好きで「梅棹研究室」に集ってくる人というのは、なんというかやはり、とても個性的なのである。

秘書としての仕事術なんてページもあるが、全体を通して筆者の長年にわたる梅棹氏への敬愛、尊敬の念が感じられ、微笑ましい。

「知的生産の技術」もちょっと読んでみたくなったな。

(読了日 2006/11/27)







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