宮沢 章夫 / サーチエンジン・システムクラッシュ
Bookサーチエンジン・システムクラッシュ | |
宮沢 章夫
おすすめ平均 |
宮沢 章夫さんはエッセイがあんまりにも面白いので小説も読んでみることにしました。
これがデビュー作(1999年)だそうです。2編を収録。
「サーチエンジン・システムクラッシュ」
「生きているのか、死んでいるのかわからない。その曖昧さに耐えられるか」
学生時代に「虚学」というゼミにいたときにその担当教授から言われた言葉。
卒業から約20年が経ち、ごく平凡な生活をおくる「ぼく」の前に突如そのころの
仲間の1人がある事件を起こしたとの知らせが。
かつての仲間たちに連絡をとっているうちに
「虚学」の教授の名前を人によって違って覚えているということに気がつき、
その事件を起こした「彼」と以前偶然行き会った「池袋」の街にあてもなく「ぼく」は行く。
ほんとなんでそうなるのかとか、こだわっているポイントとか奇妙で、
不条理劇を見ているような展開。
個人的には池袋は子供の頃から知っている街なので、小説中出てくる通りや店、役所のあたりまでよくわかるし、そこをまったくの「異邦人」の視点でながめるのはなかなか新鮮で楽しめた。
なにかをずっと探してるけどコンピュータはまったく出てこないし、タイトルとの関係は不明。
「草の上のキューブ」
コンピュータというならむしろこちらの方がそうで。
ある地方都市で父親の建築会社を手伝う主人公。
ルービックキューブが得意だったことから「キューブ」というあだ名。
堅実な生活のかたわら趣味ではUNIXで電話回線をつかったコンピュータ通信を楽しんでおり、
その「ハック」の途中あることに気づいてしまう。
普段使う言葉が方言(どこの言葉なのだろう)なのに
コンピュータを使うときやその話をしているときはついつい標準語になってしまうというのがちょっと面白かったかな。
(読了日 2007/1/12)
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