八丁堀の湯屋 < 新装版> 御宿かわせみ (16)
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文藝春秋 2005-11-10
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第16巻。7編を収録。

「黒船稲荷の狐」

深川の黒船稲荷に初午(はつうま)に出かけるかわせみ一行。
そこで見かけた呉服問屋尾張屋の一家に東吾は興味をいだく。

数日後尾張屋の婿養子栗助が行方不明になったとの知らせが。3日前にどこかから手紙を受け取りその後消えたという。また栗助が江戸に来る以前に小田原で結婚していたと女房を名乗るおいねという女が現れる。

「近頃の盗っ人は小細工がうまくなった」
と東吾がつぶやく、その通りの内容。よくできてる。
犯人ははたして誰か。
背後関係を洗うため江戸~小田原間を徒歩で往復3日でこなしたという深川の長助の健脚ぶりはすごい。それが、決め手になる。

「吉野屋の女房」

日本橋十軒店町である雛市におくりものを買いに来たるいとお千絵。
目的を終え吉野屋という店で小ぶりの雛箪笥が気に入り、買い求めるが、引き出しの中に他人の恋文が入っていた。宛名は儀兵衛といって吉野屋の主人、差出人は初(はつ)、吉野屋の女房とは違う名だった。
かわせみではこの件は内密にするが、翌日吉野屋の女房お多加が箪笥の返品をお願いにくる。
数日後吉野屋の儀兵衛と翁屋の女主人お初が州崎の弁財天で心中したとの知らせが。

トリックもうまくできているし、決め手が筆跡鑑定というのもうまい。

人間上を見るときりがない。欲の深さとそのおそろしさも教えてくれる。

「八丁堀の湯屋」

かわせみには内湯があるが奉公人たちは暖かい季節は外の湯屋に行くことを楽しみにしていた。
番頭の嘉助はいつも行っている湯屋が休みだというので昔なじみの大黒湯を訪ねる。旧交をあたためいい気分の嘉助。

日が過ぎて。土用のころ大黒湯の女湯で同心松田庄三郎が自らの小刀で胸をつかれ、亡くなってしまったの知らせが。
当時は八丁堀の湯屋では特に朝方は男の利用客のほうが多く、女湯の入り口に「男性が入っていますよ」とのしるしとして刀をかけておく「刀掛」という習慣があった。

湯屋のさまざまな風習がわかって興味深い回。
それとは別に事件の結末はなんともやりきれない、悲しいものだ。

(読了日 2007/3/23)







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