秘曲―御宿かわせみ〈18〉
秘曲―御宿かわせみ〈18〉 平岩 弓枝

文藝春秋 1996-11
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おすすめ平均 star
starほのぼの、捕り物帳
star18弾

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第18巻。8編を収録。

「松風の唄」

深川の越中島に東吾のつとめる講武所付属の鉄砲の調練所ができ、意外にものごとに熱中するたちの東吾は射撃でもなかなかの腕となる。そこで川上武八という50ほどの御家人と知り合う。あるとき武八の具合が悪くなり、東吾はかわせみに連れて行った上で麻生宗太郎に治療を頼む。
武八は家族運に恵まれず、唯一残った1人娘を8年前に奉公先の山村家の長男に殺されてしまったのだという。

孤独な老人と彼の追い詰められていく様子、諦観と最後に見せた慈悲。
華やかなお祭りをバックにあまりにも悲しい事件が起こる。

「江戸の馬市」

久しぶりに狸穴の方月館を訪ねる東吾。師の松浦方斎に麻布十番である馬の市に誘われる。大変な人出の中馬を曳くおきくという娘を暴漢から救い、知り合う。
翌日おきくとその兄の馬飼い孫太郎がかわせみを訪れる。相馬(福島)から5年前に江戸に出て行ったきりの孫太郎の妻およねをなんとか探せないかというが。
さらに翌朝赤坂の溜池にて孫太郎が水死体で発見される。

過去を捨てようとした人と過去から来た人との邂逅。
そこに思わぬ悲劇が、という話。
なんだかワイドショーでとりあげられそうな話でもある。

「秘曲」

春。麻生源右衛門が鷺流という一派の演能の会に出るというのでるいに七重、香苗の女道中に宗太郎がお供としてついていく。その間花世と遊ばせていた大村家の長男麻太郎がなかなか利発なのでるいらは感心する。

数日後、東吾が源右衛門に呼ばれ、本所の麻生家へ。
鷺流では先ごろ先代が亡くなったが、一子相伝の「鷺」という秘曲を宗家の跡目広信殿が受け継いでいない。親族である高信(たかのぶ)という娘が秘曲を伝授されており、京都から宗家に秘曲を伝えるべくやってきたのだという。

舞の世界の美しさと厳しさがさわやか。

また大村麻太郎はかつて嫁入り前に東吾が一夜限りの関係を持った琴江の子であり、東吾の「隠し子」ではないかとの伏線がここで張られる。

(読了日 2007/3/29)







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