春の高瀬舟―御宿かわせみ〈24〉
春の高瀬舟―御宿かわせみ〈24〉 平岩 弓枝 文藝春秋 2001-03
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第24巻。8編を収録。

「春の高瀬舟」

下総の古河米は銘米として知られるが、それを卸す小網町の古河屋で
新米の季節に昨年の米を破格の安値で売り出した。大旦那の一太郎は古河に買い付けと養子縁組の相談に出ており、家中の誰かが知恵をつけたのではないかと噂される。
5日後高瀬舟で戻ってくるはずの一太郎が帰ってこないとの知らせが。

一種のお家騒動だけど、東吾らの「ものをしらべる手順」はあいかわらず物堅く、
ブレがない。

「伝通院の僧」

千春は順調に育ち、おとなしくよく眠るので「ねんねん姫」と呼ばれている。
「源さんも俺も、宗太郎も、みんな親父になっちまったんだな」
感慨にふける東吾だがそれはしあわせなつぶやきだった。

柳橋の信濃屋という蕎麦屋によく現れる僧がいるという。小石川にある伝通院の僧を名乗っているというが伝通院には昔きつねが化けて蕎麦を食べに来たという伝説があり、おもしろがった東吾は信濃屋を訪ねることにする。

柳橋では折悪しくも芸者おきくが自ら熱湯をかぶってしまい、大やけどを負うという事故が起こっていた。ひいきの役者が妹分のお染に心移りしたと勘違いし、湯をかけようとしたということだが・・・。

人の運のよさも悪さもその人の心がけ次第で変わることもある。
ただ悪いサイクルに入り込んでしまった人には、そのことが見えないのだろう。

伝通院の僧はきつねではなく、ただの男だったというオチがつく。

「紅葉散る」

品川御殿山で旧知の滝川大蔵の古希の祝いがあり、兄嫁の香苗、麻生宗太郎とでかける東吾。祝宴の終わりごろ、滝川家の表にて斬り合いが起こり、東吾は暴漢3人を急所をはずして倒す。近くに倒れていた女性は清水琴江であり、彼女は麻太郎のことを東吾にたのみ、亡くなってしまう。

紆余曲折の末、麻太郎は香苗が保護しており、兄通之進の養子として神林家に迎えられることになる。兄がどこまで事情を知っているのかはわからないとはいえ、東吾としてみれば思いがけぬ形でのわが子との邂逅であった。

(読了日 2007/4/16)







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