大槻 ケンヂ / グミ・チョコレート・パイン パイン編
Bookグミ・チョコレート・パイン パイン編 | |
大槻 ケンヂ
角川書店 2006-11 おすすめ平均 |
「グミ・チョコレート・パイン」シリーズ第3巻。
アイドル羽村とのスキャンダルが明るみになるが、それを逆手に「世紀の純愛」を訴えて一気にスターダムにのしあがる山口美甘子。ハリウッドへのデビューも決まり順風満帆のスタートとなった。
黒所高校のクラスメートはそれぞれ衝撃を受ける。中でもケンゾーのショックは深刻で、バンドにも学校にも居場所を見出せない彼は、どんどんうちにこもっていく。
そんなケンゾーを見かねた山之上の「ジーサン」はケンゾー復活のための「修行」をしかける。
第2巻から8年。2巻のあとがきに「このキャラクターたちをいかなる卑怯な手をつかってでもハッピーにしてあげたい」と書いてあったんだけど、ほんとありとあらゆる小説としての「禁じ手」を使ってます。「もう、なんなの」というぐらいに。
山口美甘子の変貌ぶりはある意味青少年の理想(「妄想?」の産物)ともいえるし。
ジーサンとの「スターウォーズのヨーダ風」修行の部分はまぁマンガですね。「キル・ビル2」よりもくだらなかったよ。アイドル羽村とケンゾーの奇妙な友情、ケンゾーの童貞喪失シーンなどどこまでも
「なさけなくやるせない」どんづまりの感覚、それからおかしいまでのリアリティのなさは
強烈に好き嫌い分かれそうだ。
むしろ身もフタもないみっともなさ、暗さにいたたまれなさを感じるのはケンゾーと年代が近い若者のほうかもしれない。
ある程度年齢がいくと表現が雑だったり、乱暴だったりしてもオーケンのいいたかったことはなんとなく伝わってくるんだけどね。「誰かに伝えるべきこと、やるべきことを1人で抱えこんでいませんか?」ってこと。
大人になるのに、みっともないことはいろいろあるけど、
みんなそれを乗り越えてきたってことに気がつけば、楽になるはずだよ。
そんな感覚。
それにしてもエッセイよりもぶっとんでいるけれど、しごくまともなことも書くじゃないか、オーケンというのが正直な感想だ。
いくつか若返ったような気さえします(笑)。
(読了日 2007/4/29)
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