長助の女房―御宿かわせみ〈26〉
長助の女房―御宿かわせみ〈26〉 平岩 弓枝

文藝春秋 2002-08
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第26巻。8編を収録。

「千手観音の謎」

東吾の兄嫁、香苗が神林家伝来の千手観音像にあやまって傷をつけてしまった。近く重陽の節句で飾らなければいけないので困り果てている。相談された東吾は麻生宗太郎の紹介からある旗本がよく似た観音像を持っているのを借りてみてはということに。
ところが借りた観音像で子供が遊んでいるうちに背中が外れ、中から包みが見つかった。

東吾は香苗に「そんなことで兄上はお怒りにはなりませんよ」というが、
その通りの展開になる。実は通之進も子供の頃この観音像をこわしてしまったことがあったのだ。

「嫁入り舟」

正月に「かわせみ」にみなの子供たちが集まって遊ぶが、麻太郎と千春がよく似ていることに東吾はふと不安を覚える。麻太郎は兄通之進の養子として育てられているが、実は亡くなったある女性と東吾の間の子。おりから八丁堀で麻太郎は通之進の隠し子ではないかとのこころない噂が流れ、いたたまれなくなった東吾は兄夫婦に真実を話そうとする。

この回で香苗の口から兄夫婦は事情をすべて知った上で麻太郎を迎え入れていたことが明かされる。「自分がお腹を痛めた子に思えてしょうがない」というのはなかなかいえない、深い言葉だ。

(読了日 2007/5/5)







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