異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)
異国トーキョー漂流記 (集英社文庫) 高野 秀行

おすすめ平均
starsこの人脈は賞賛に値する!
starsとにかく面白い!
stars国際人だと…?
stars期待通り、期待以上
stars掌編

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高野 秀行さんの文章はなごむ。
世界中を旅している国際人のはずなのにどこか「B級」なのだ。

とはいえ僕は彼の「本職」であるところの海外秘境・探検ものにはまだ食指をのばしてない。
こういう人が「日本」を書くと力が抜けていてとても面白い。だから読む。

この本は高野さんが「友人」であるところの在日外国人の方々とのなれそめから
普段のどうでもいい話、それに別れや近況にいたるまでを書いてくれた8編の話。

当時の彼女をつなぎとめるためにスペイン語を習ったり。
大連で知り合った「ドラえもん」のような体格の日本語講師(高野さんがとてもお世話になったそう)の息子がやっぱりドラえもんみたいな体格だったり。そんな彼が日本に住み続ける理由は中国では乗れないハーレーに乗れるから、それと日本人の彼女ができたからだとか。

熱狂的なプロ野球ファンであるスーダン人の彼は目が見えない。
点字のCDブックとラジオで日本語をマスターしてしまった彼を高野さんは「トーキョー・ドーム」に連れて行く。2軍のマイナーな選手のことすら知っている彼は実は野球のボールを触ったことがなかった。

コンゴの言葉(フランス語と現地のリンガラ語)を知りたいと留学生のつてをたどって紹介されたのは「スーツバリバリ」のどうどうとした金融エリート。「僕は忙しいから」と別の人を紹介してくれることになるのだが、高野さんはその彼の兄の書いた小説を無断で訳し、それを卒論の材料にしてしまう。長いつきあいになる。

どこか「壁」というものがとっぱらわれたかのような。
いやだからこそ強烈に「壁」を意識させられるのか。
面白くてやがてかなしき「異国」の物語。

(読了日 2008/6/1)







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