「時計じかけのオレンジ」(1971年)をビデオで観てみました。

スタンリー・キューブリックの初期の代表作の一つ。アンソニー・パージェスの同名小説を映画化。

以下、ちょっとだけネタバレありです。

アレックス(マルコム・マクドウェル)は不良少年。仲間たち(ドルーグ)と共にあらゆる悪事を働いてきた。ベートーベンの「第九」などのクラシック、ジーン・ケリーの「雨に唄えば」をバックに果てしのない暴力は続く。その有様はアナーキーで抑制という言葉を鼻からバカにしているようで、恐ろしい。ついにはある夫婦の家に侵入し、妻をレイプ、殺害するという暴挙にまで至る。

だがそんな彼も逮捕され刑務所に。そこで新しい犯罪者矯正法「ルドヴィコ療法」の実験台となる。「痛み」に特化したビデオを強制的に見せられ、自分のやったことに肉体的に嫌悪感を感じ、2度とそういったことが出来ないように徹底的に「洗脳」を受ける。アレックスは完全に無力化され暴力のことを考えただけでのたいつまわるほどの苦痛を感じるようになる。

出所したアレックス。両親の元に帰るがそこにも居場所はなく、かつての仲間たちは警官となっていてアレックスに暴行を加える。居場所のなくなった彼は反体制の作家の家に転がり込むが、その作家こそ彼がかつてその妻を殺した当の人物だった。すべてが逆転した世界でアレックスは世の中の不条理とでも言うべき復讐を受ける。そして・・・。

キューブリックは原作をかなり忠実にアレンジしている。「読みづらい」と言われているロシア語を元にした造語もかなり採用しているし(日本語版字幕では読みをそのままルビにしている)、後半のアレックスの再矯正シーンもシンドイ部分だがそれなりに表現している。映像になった方がよりわかりやすい部分は例えば僕の場合「アレックスはどんな顔をしているヤツだったのか?」といった部分。

キューブリックの死後、彼の遺作となった「アイズ・ワイズ・シャット」に主演したトム・クルーズ、遺稿の「A.I」を映画化したスピルバーグがタッグを組み、「マイノリティ・リポート」(2002年)を製作した。この作品にもキューブリックへのオマージュが多数含まれているとのこと。







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