この日公開日の「HERO(英雄)」(チャン・イーモウ監督)を観ました。大入り満員でした。

約2000年前の中国。秦王政(のちの始皇帝)に面会を申し込む剣士、無名(ジェット・リー)。秦王の命を狙う3人の刺客を倒し、その得物を王に奉納しにやってくる。3000人の兵士が束になっても敵わなかった凄腕の刺客たちを彼はどのようにして倒したのか。

ワイヤーアクションは「マトリックス」にもパクられ大流行ですが、本家、中国・香港勢も負けてはいません。ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、ドニー・イェン、チャン・ツィイーといった中華圏を代表するスターが華麗なる「演舞」を見せてくれます。
なんで飛べるのかという疑問を残しつつも、あまりにも華麗な飛びっぷりですし、その呼吸といいますかノリがなんとも大陸的で笑えます。日本の格闘マンガに通じるものもあるかもね。
ちょっと触れますと。まずジェット・リーとドニー・イェンの寺院での決闘。二人は「気」を飛ばすことで対決するんですが、睨みあってる間の精神世界での戦いもそのまま表現していて、そのシーンがまたド迫力なんですね。この二人は本当の武術の達人で「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」という映画でも対決しているとか。
それからマギー・チャンとチャン・ツィイーの対決では二人が色鮮やかな布をひらひらと乱舞させていまして、なんだか新体操のリボンを連想してしまいました。銀杏の葉が舞い散る中戦うんですよ(笑)。チャン・ツィイーはなんだかバタバタしてるだけでまったく強そうには見えませんが、かわいいからまぁいいか(爆)。
マギー・チャンとトニー・レオンは恋人という設定で、これもなかなか「情」の深い感じでいいんです。マギー・チャンかっこよかったな。
戦いのシーンも「風景を愛でる」という感じでむやみやたらに綺麗です。
それと降り注ぐ矢の雨を剣で叩き落しちゃうのも(笑)。秦の大軍がいつまでたっても攻め込まないで矢を建物に撃ち続けるのもスゴイですし、その中「書は我々の誇り、戦い」と「お習字」を続けるみなさんの気迫もスゴイです(笑)。ツボですね。大真面目にやってるところが好きです。

この映画では「色」へのこだわり方が尋常じゃないですね。「黒」「青」「赤」「黄」「緑」「白」といったその場面のテーマカラーが画面の隅々まで反映されてます。同じ場面を繰り返すにしてもその色に合わせて、役者さんの衣装からセットまで色替えしてるというこだわりぶりです。

話は、芥川龍之介の「藪の中」「羅生門」(黒澤明の映画化で知られてますね)を思わせる構成といいましょうか、「あの話はああいっていたけども実は角度を変えてみればこうかもしれず」「いや実はこうで」の繰り返しです。このあたりは好みが分かれるかもしれないけど、「単なるアクション映画」にはしたくなかったチャン・イーモウ監督のこだわりが僕にはうれしいです。今までの彼の作品とはやっぱり全然色合いが異なるけれど。これを観て気に入った方にはぜひチャン・イーモウ監督の昔の作品も見て欲しいですね。香港流ワイヤーアクションということではアン・リー監督の「グリーン・デスティニー」もいいですね。
中国映画もきっちりとお金をかけた大作が作れるようになって、また面白い作品が観られそうですね。これからも楽しみです。

実のところこのあたりから楽天に書いていた映画の感想は「Black Pepperのお部屋」の「CINEMA」に書いていたものとだいぶ(題材にした作品だけでなく、文章の内容まで)被ってきてしまっていました。
読んでる層が違うので、一応いいのかなとは思ってたんですが。
1人で出来ることには限界がどうしてもありますね。







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