シネセゾン渋谷で「アイデン&ティティ」を観てきました。

監督 : 田口トモロヲ
原作 : みうらじゅん
脚本 : 宮藤官九郎

1980年代末。東京・高円寺を拠点とする4人組のロックバンド「スピードウェイ」は折からのバンドブームに乗ってメジャー・デビューを果たす。だが事務所の方針に従って「売れる曲」を作ろうというヴォーカルのジョニー(中村獅童)のやり方に理想化肌のギタリスト/ソングライターの中島(峯田和伸)はついていけないものを感じる。悩む彼の前に「ロックの神様」ボブ・ディランの幻が現れる

*ネタバレがありますので未見の方はご注意ください。

バンド・ブームに「乗り切れなかった」青年像を描くみうらじゅんの自伝的作品。
冒頭からみうらや大槻ケンヂらのインタビューから入り、更に高円寺の駅、町並みを「そのまま写して」しまうなど、あの時代の空気感をできるだけ生の形で出そうとしている。最初はそんなにうまくいっているとは思わなかったんだけど、話と音楽(特にボブ・ディラン(!)がセリフの代わりに吹くブルース・ハープのアドリブ)の効果でだんだん「いい映画」に見えてきてしまった。

主人公の中島はロックで行きたいという理想を現実の前に次々と崩され(そんなものは「売れない」のだ)、大学の同級生でこの上ない理解者の恋人(麻生久美子)がいながらも、さみしさからファンの女の子と次々と関係を重ねる。ボブ・ディランの登場も唐突で(しかも似てないし)、ファンタジックなものだけど、それが彼の「こころの声」だということは、迷ったときにしかディランが出てこないことからも理解できる。

メジャーでの活動に破れ、高円寺の焼き鳥屋のバイトなど元の生活に戻りながらも、ますます「ロックであること」にのめりこんでいく中島。
その姿には不器用にしか生きられない若者のあがき(本当にみっともない!)
と熱気が感じられて、こういうのってやっぱり嫌いじゃないんだなぁ。
しまいには彼の「のび太顔」がディランのように見えてきたり。

面白かったです。
東京ではシネセゾン渋谷と吉祥寺バウスシアターにて。
これから各地での拡大上映が始まるようです。

各地での上映は終了。その後ビデオ、DVD化されました。







関連記事(試験運用中)

  • No related posts




  • コメント/トラックバック:0 個 »

    トラックバックURL: http://blackpepper.oops.jp/wp/archives/690/trackback

    この記事にはまだコメントがついていません。

    コメントをどうぞ

    コメント、トラックバックは確認後に表示されます。しばらくお待ちくださいね。

    段落や改行は自動挿入です。メールアドレスはサイト上では非表示です。
    使用できる HTML タグ: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong>