ミレニアム・マンボ(2000年 / 台湾)

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「トランスポーター」,「クローサー」を観てすっかりスー・チーが気に入ってしまった。
顔もいいし、バックフェチ気味の俺としてはあの背中からお尻にかけてのラインはたまらないものがあるな、と。
ということでTSUTAYAに彼女の主演作「ミレニアム・マンボ」があったので借りてきました。
台湾のホウ・シャオシェン監督の近作。DVDでは彼のインタビューも収録されている。

都会で暮らすビッキーという女性の愛の喪失と再生を描く。
どこか孤独感を漂わせ、芯が強そうで実はもろい女性のようだ。

彼女の同棲相手ハオは働こうとしないどうしようもない男。
そんな彼でも寂しいから一緒にいる。
ビッキーの日常を淡々と描いているようだが、その生活は「抜けようとしてるのかどうかすらわからない」倦怠感と無気力が支配する世界。
ビッキーはケンカしながらもいやなホステスの仕事を続けることで
結局ハオを食わせている。

パーティ、仕事、表面上は華やかだけれど、そこはかとない孤独感を
ぶつけられる相手が実はいない。
こういう心情ってシンプルなだけに誰にでもこういうときってありそうな気もする。

後半、ハオの元から旅立って、日本人の知り合いを訪ねて北海道の夕張のシーンに行くシーンがある。終始室内のこの映画の中で、雪景色の見られるこのシーンは数少ない「空間」を感じることができる場面だけど。
前後とのつながりがかなり希薄なのが残念かな。
監督も「夕張では時間が足りなくて撮りたいシーンの半分も撮れなかった」と言っていたけれど。

ハオに代わって現れるのが「どうしようもなく優しいヤクザ」ガオだ。
この役はホウ・シャオシェン監督では常連のガオ・ジェが演じている。
彼はビッキーがどうしようもなくなって転がり込んできたときに
彼女を受け入れるが、彼女に全てをゆだねようとはしない。
ある意味で大人だし、距離感をもたないと人間として
もたないということもあるのかもしれない。

ガオは突然消える。
その行く先が日本らしいということでビッキーはまたも日本へゆく。
そこまでガオに執着する理由がこちらには見えてこないのだが、
彼女の中でもどこかこれまでの生活に「区切り」をつけたい
気持ちがあったのかもしれない。

この映画の視点は独特でビッキーが10年後に「あのころ」と2001年を回想するという構成になっている。そのせいか、彼女が自分のことを「彼女」とモノローグで呼ぶのには最初はとまどったな。
どこか現実感、生活感がなく進む。
画面的にはきれいだったんだけど。スー・チーのファンじゃないときついかも。

ホウ監督はしばらく「現代を撮りたい」と語っていた。
この映画でも描かれた台湾の現代というのは
ほとんど日本と変わりがない。
ある意味で身近な映画かもしれない。

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