「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール
藤沢 晃治

発売日 1999/03
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世の中は「分かりにくい表現」であふれている。パソコンや家電商品のマニュアルがその最たるものだけれど、例えば交通標識などでも「よ~く見て理解しないと間違えやすい標識」などは下手をすると事故の元だ。
そういった「分かりにくい表現」を取り上げて、「なんで分かりにくいのか」「どうすれば分かりやすくなるのか」を徹底的に考えてみた本。

「分かる」こととは漠然とした「モノ」を受け手の元々持っている常識、認識に合う形で「分けられる」ようになることだ。
だからその「咀嚼」がしやすいように情報を投げかける側としてはいろいろと「工夫」をした方がいい。

以下にその「工夫」を本書から抜き出してみる。

「誰が見るか」
受け手がどんな人か、その情報にどの程度関心を持っているのか、をまず考えてみる。自分が知っていて「これは常識だろう」と思っていることが、単なるその人の職業であったり、属する集団の中でしか通用しない「常識」であることを忘れると、その人の言うことはものすごく「不親切な表現」になる。自分が寄って立つ大前提を相手に分かる言葉で説明できてから、その「モノ」を説明するように組み立てなおさないといけない。

「ものごとのつながり」
その「モノ」がなになのか、あくまで具体的に説明する。
例えば郵便ポストで投函口に「手紙・はがき」と「その他の郵便」としか書いていないのは不親切だ。「その他」というのがなにを指すのか分からないからだ。この場合「その他」に「大きい郵便、速達郵便、国際郵便、電子郵便(レタックスなど)すべて」などと「説明」をつけてみるといい。
いくつもある「モノ」に優先順位をつける。
例えば高速道路の出口では「この表示に従うとどこに着けるか」が一番大事な「情報」だ。これが分かりにくいようならその表現は失格だ。
「モノ」と「モノ」の相互関係をはっきりさせる。

「人の「受け取るメカニズム」を考慮した表現」
人の「受け取りやすいサイズ」に合わせて「区切ろう」。
人の「自然な発想」に従った表記をしよう。
例えば水道の蛇口。なにも書いてなかったとしても「赤」だったら「お湯」、「青」だったら「水」が出ると思うほうが自然だ。これを逆にしたらすぐに混乱するだろう。
「視覚特性」を生かそう。
「どっちつかず」の表現は「真ん中」に書いてあるから起こる。
思い切って「こちらです」と分かるように。
文字よりも図のほうが「分かりやすい」けれどその図にさらにみがきをかけよう。

「おもてなしのこころを持とう」
本来送り手がすべき「情報の整理」をサボったために「受け手(特に時間がない人や、相手が顧客である場合)」に「情報の解釈」をさせるのは「親切心の欠如」だ。
この部分に力を入れるだけで、相手の印象も随分変わるはずだ。

とまぁ、こんな感じですが。
「ダメな表現」の例もあくまで具体的だし、この本自体もかなり「分かりやすく」するために気をつけているので、頭には入りやすい。

巻末に「分かりやすい表現のルールブック」としてチェックリストがついていたりもする。

実はこの著者はソフトウェア・エンジニアをしてる人で、日々「分かりにくい表現」と格闘してる人でもある。そのせいか発想そのものが理系的だなと思うこともあるけれど、僕のような「あいまいな人間」にはいい勉強になりました。

(読了日 : 2004/3/6 )







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