赤坂 真理 / ヴァイブレータ
Bookヴァイブレータ 赤坂 真理 発売日 2003/01 |
ヴァイブレータ
(赤坂 真理 (著) / 講談社文庫 / ISBN: 4062735806 / (読了日 2004/4/27 )
皮膚感覚に「クル」小説だ。
ま、タイトルからしてそうなんだけれど。
女性が一人称で「アタシ」を語る。
その語られる様は誰もがこころに抱えている「ひりひりする感じ」それとも
「なにもない感じ」を刺激する。
イタ気持ちいい文体。
ライターの「あたし」は頭の中の「自分の声」に悩まされている。
アルコールに溺れ、「吐くこと」でその声を抑え、かろうじて自分を支えていた。
コンビニに知り合った長距離トラッカー岡部の車に乗り込み、「なにもない旅」に出る。
岡部との会話やセックスをしてる間は「あの声」を忘れられるのだ。
車は千葉から東京、前橋、新潟へと進んでいく。
ある意味、病んでるし、リアルともとれる。
個人的に面白いなと思ったのは岡部が語る「裏世界」の話。
中学も出ずに不良から少しヤクザもやってましたという岡部は、トラッカーの間での習慣や、「こんなヤツはこうしてやった」という話、無線の交信での隠語などを次々と語る。
この小説では「わたし」の独白が地の文なんだけど、それが彼女の「体内時計」のゆれ、ぶれに従って刻々と様子を変えていく。
最初は「自分の声」が突然乱入する不安定な世界。
岡部と溶け合って、彼の「言葉」がどんどん入ってくると、最初は聞いてるだけだったのがだんだん地の文にもその影響が出てくる。
それは奇妙な安定感があるけど、最初あった「キレそうな感じ」が完全に消えたわけではなく、なにかの勢いで暴発しそうな不安定感をかかえたままだ。
岡部は彼女には無線をやらせ、車の運転をさせるけど、こうした「現実」と向き合うことで彼女はなにかをつかめるんだろうか。
結論は出ないんだけどね。
「ヴァイブレータ」は 寺島しのぶ主演で映画化されたということで知りました。
ビデオ、DVDは6/25に出るそうだけど、このあたりの内面感覚を「画面」に表現するのはすごく難しそうだから、あまり期待せずに見ようかなと思ってます。
(読了日 2004/4/27 )
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