金原ひとみ / アッシュベイビー
Book
「蛇にピアス」に続く金原ひとみの第2作。
なんでも芥川賞受賞であまりにも広がりすぎた読者層を限定したいってことで、この本の出版となったそうだけど。
確かに読む人を選ぶ内容だなぁ。
キャバクラで指名率No3をキープしているアヤは自傷癖がある。
ホクトという男とルームシェアしているが、彼との間にこころのつながりはなく、その場の気分で誰とでも寝る。というより寝ることにほとんど意味を感じていない。
ホクトの同僚のクールな前野さんに一目ぼれし、彼のことで頭がいっぱいになって暴走する。前野さんはアヤのむやみな「好きです」攻撃にも表情を変えず「いいですよ」と答え続ける。
ホクトが親戚の赤ん坊だという子を部屋に連れてきたが、彼はその子に虐待を始める・・・。
アヤとホクトの無軌道な暮らしには出口が見えなかった。
この小説はアヤを「語り手」として1人称で進むんだけど。
この文体があまりにも乱暴。
なんだか未整理の状態のままのものをそのまま見せられた感じ。
それにこの子「生きてる」って感覚が希薄なんだよね。
自分を傷つけることもそうだし、赤ん坊を虐待するホクトを無関心のまま見ている、というかもっとひどいことも考えてるし。
「愛してる」人に「殺して欲しい」と願うっていうけど、その前にちゃんと人と向き合ってくださいって感じだけど。ふ～。
イキオイは感じるけど、これは習作段階のものを出しちゃったんじゃないかな。
かなりキツイです。
でも一気に読めちゃったんだけど（笑）。
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（読了日 2004/6/22)
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