updated(first) | 05/22/2002 | last updated |
ロード・オブ・ザ・リング (2001/アメリカ、ニュージーランド) | ||
監督 : | ピーター・ジャクソン | |
出演 : | イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ケイト・ブランシェット、他 | |
ファンタジー小説の古典的名作「指輪物語」の映画化作品。そのあまりの壮大な設定に「映像化は不可能」とされていたが、ニュージーランドのインディペンデンス系監督のピーター・ジャクソンがハリウッドの協力を得て、「3部作まとめて撮影、1年おきに公開」という型破りな方法で製作した超大作。 僕は原作を読んだことがあるのでそのあたりもまじえつつ・・・。(注:ネタばれ有り!) 1作目のこの作品は3時間だがまだこれでも物語の導入部に過ぎません。ラスト・シーンで「ちゃんと終わっていない」ので消化不良な人も多いでしょうが「この後もっと派手になります」。 ニュージーランドでの長期ロケ、さらにそれをCGで再構成したことで架空世界である「中つ国(ミドル・アース)」が見事に表現されています。主人公はホビットと言って人間の2/3程度しか身長のない部族なんですが、それもCGで大きさを「補正して」表現しています。メイキャップもみごとでファンタジーの花形エルフ族がほぼ「想像した通り」の姿で出てきます。原作ファンからするとこれでもいろいろと言いたいことはあるのですが・・・。 原作は歴史的な出来事は「背景」として処理されていたり、複数の話が並行して進行したりと非常に複雑なんですが、それが整理された形で出てきてだいぶ分かりやすくなっています。オープニングは指輪の説明、戦闘シーンから入るんですがこれも原作にはまったくない部分ですし。それでも状況説明的なセリフがうまく訳されていなかったりと、原作をまったく知らない人には不親切な部分もあります。 訳(戸田奈津子氏による)については多方面から批判がありました。説明がわかりづらいほかにも訳語が原作から変わっていて少し違和感は感じました。 例えば「韋駄天」アラゴルンですが原作では「馳夫」、「ブリー」は「粥村」、「ゴラム」は「ゴクリ」です。実は原作は1992年に改訳がされていてその訳語でもあるんですが、僕が読んだのは「旧版」の方なので。 指輪がいかに魅力的で持つ人を狂わせるかの描写もわかりづらいですね。フロド(イライジャ・ウッド)が指輪をはめた時、妙な光景が広がったと思います。あれが「全てをつかさどるもの」冥王サウロンの「意識」と「指輪所持者」の「意識」がつながった状態で、ああなっている瞬間「所持者」は世界のあらゆるところを見ることができるんですが、大概の人間はその状態には耐えられないんですね。中毒症状を起こし、指輪なしでは生きられない「指輪の奴隷」になってしまう。映画では「黒の乗り手」と「ゴラム」がその「奴隷」として出てきますが、ビジュアル的にも「悪」として表現された彼らよりももっと恐ろしいのは一見普通な人にもその影響が現れてしまうことです。フロドのおじさんビルボは前作「ホビットの冒険」で指輪を手に入れて以来、実に強い意志力で指輪の魔力に抗してきましたが、その彼でさえふとしたおりに見せる指輪への執着は恐ろしいばかりです。だから彼はフロドに指輪を託すんですね。フロドもまた指輪を奪おうとする外部の力と共に、自分の内部での指輪への執着とも戦わなくてはなりません。さらに仲間の一人(ネタばれです!)が豹変してしまうのも指輪の魔力のせいです。 さて、第2作は2003年、第3作は2004年に公開です。原作でも読みながらのんびり待ってもいいかもしれませんね |
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