ホームへ戻りますシネマトップへ updated(first) 2003/11/02 last updated


キル・ビル Vol.1 (2003年 / アメリカ )
監督  : クエンティン・タランティーノ
出演  :
ユマ・サーマン/ルーシー・リュー/ダリル・ハンナ/デヴィッド・キャラダイン/サニー千葉(千葉真一)/ジュリー・ドレフュス/栗山千明/他


タランティーノ、6年ぶりの作品。
まったく規格外のめちゃくちゃな作品でした。

冒頭でいきなり「深作欣司監督に捧ぐ」と出てビックリ。
そこから始まって全編を「日本」へのタランティーノ流のこだわりが充満していて・・・不思議な感覚でした。
敵役が登場するたびに「毒暗殺団○○」とやすっぽく派手なキャプションが。
音楽も全部アリモノ。今回はお得意の70年代ロックだけじゃなくて梶芽衣子の「怨み節」「修羅の花」なども使われてる。
途中回想シーンでアニメが使われてるけど、これは日本のプロダクションIGという会社が製作したものだそう。「攻殻機動隊」作ったところらしいですね。
ユナ・サーマンやルーシー・リューが片言の日本語でもしゃべっているし、彼らの使うのは日本刀、戦いの舞台は雪のつもった日本庭園(ししおどしの音が鳴る中戦う)。
千葉真一がサニー千葉として登場し、名刀「ハットリハンゾウ」をユナに託すのみならず、ナレーション(日本語! アメリカでは字幕で内容を伝えたのだろう)も担当、と。
これ以上ないぐらいに日本のマーケットを意識している。
本国での評価はともかく日本人には、「やられた」という感じの映画ですね。

話自体はかなり単純。
凄腕の暗殺者ザ・ブライド(ユナ・サーマン)が組織のボスであり恋人だったビル(デヴィッド・キャラダイン)に結婚式の当日夫とお腹の子供を殺される。頭を打ち抜かれたが奇跡的に命を取り留めた彼女が、4年の昏睡状態から目覚めて、ビルと元同僚の4人の女暗殺者たちに復讐していく。
全体を2つにわけてしまったそうで今回は「Vol.1」。

冒頭から刺客の一人黒人女性とその女性の家での格闘となる。彼女には娘がいてその娘の前では母親は殺せないと女らしい心遣いも見せるが。

そこからはカットバックを多用しためまぐるしい展開となるが、いかにもタランティーノらしい。
ザ・ブライドの回想シーンと、目覚めた後の病院からの脱出行、看護婦に扮したダリル・ハンナ(彼女もビルの恋人らしい)との張り詰めた対決。

今回の見せ場となるのがルーシー・リュー演じるオーレン・イシイとの対決。彼女の血塗られた悲しい過去も(さっき書いたアニメのシーンで)たっぷりと。

さらにイシイのまわりをかためるクレイジー88との対決は広大な日本風の楼閣が舞台。ここで数十人の日本人をバッタバッタと切り倒していくシーンは圧巻です。「マトリックス・リローデッド」の100人スミスとの対決に匹敵するものが(笑)。
栗山千明は鉄球ブンブンふりまわしてます。

アクションがほんとすごい。
見せ方のバリエーション、スピード感など抜群ですね。


ユナ・サーマンは「パルプ・フィクション」のときとはまた違ってタランティーノお気に入りの女優であることは間違いない。
彼女にとって「復讐」が「再生」となるのだが。

ド派手な車の中で足の指を「動け」と念ずる「意思」が彼女の底力かもね。
ラストでビルに「ある人」が生きていることを暗示されるのだが、「Vol.2」ではこのあたりがキーとなるのだろうか。
ずるい終わり方です。



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