ホームへ戻ります シネマトップへ updated(first) 03/04/2003 last updated


特集: 生涯五指には入るこの映画!

Intoroduction

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(20) 街 さんのレビュー
『二十日鼠と人間』 (1992/アメリカ)
監督  : ゲイリー・シニーズ
出演  : ゲイリー・シニーズ、ジョン・マルコヴィッチ、他


農村地帯を渡り歩く二人。その性格は対照的。しっかり者のゲイリーシニーズと
アタマの弱い力持ちのジョンマルコビッチ。いつもマルコビッチが引き起こすトラブルで
前にいた農場を追われ、また新しい農場にたどりつき・・という映画。

アメリカドラマ「大草原の小さな家」を彷彿させる農作業の風景。麦(?)の映像が
とってもキレイ。そういう映像美以外にも、二人の友情が温かく優しくそしてせつな
い。そして哀しい。
アタマの弱いマルコビッチはシニーズの夢物語がとても好きで、事あるごとにシニー
ズに「話してくれ」とねだる。シニーズは「またかよっ!おぃ!」って思いながらも
「ったくしょーがねぇな」って感じでまた話す。その話とは、二人でお金を貯めて農
場を経営する事。苦笑いしながら話す(でも、自身の生きる糧にもなっているので話
し出すと嬉しい)シニーズと、それをとっても嬉しそうに聞くマルコビッチの姿が印
象的。
そしてこの光景がラストにも重大な意味を持ってくる。この結末には賛否両論あるだ
ろう。あって当然。これを友情ととるか身勝手ととるか、はたまた地主vs小作人とい
う観方をするか、いろいろだろう。ワタクシは「友情」というものに心打たれたが。
特にマルコビッチの演技が秀逸。もう上手すぎる。こういうの(病人とか精神錯乱者
とか)を演じるととってもベタになりがちだけど、本当にアタマが弱そう。「ロスト
チルドレン」の大男役にこれくらいの演技力があれば・・
実は、気は優しく力持ちという素性も滲み出ている。自然に伝わってくる。そしてこ
れがラストの感動に繋がるわけだが。

物語の途中でジィさんが飼い犬を処分される。老いぼれて役に立たなくなったその犬
を、新しい子犬を貰えばいいと処分を迫られる(決して嫌がらせでなくあくまでも
ジィさんを思ってという感じで)。
ジィさんは頑なに拒んでいたがついに決心し、その処分を任せる。後にジィさん
はシニーズに言った。「自分で撃てば良かった。他人に撃たせなければ良かった・・」
この言葉がシニーズの脳裏に残っていたのだと思う。
その後二人並んで歩く後姿のシーン。
夜中に独りで観ていたので、危うく泣きそうになってしまった。アブないアブない。



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