Black Pepper’s Blog

「ジム・ジャームッシュの映画がやってるよ」
それだけの情報で行ってみました。

観てみたら面白かったんでこれはアタリですね。

コーヒー＆シガレッツ (2003年　/　アメリカ)

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監督：ジム・ジャームッシュ
出演：
ロベルト・ベニーニ
スティーブン・ライト
ジョイ・リー
サンキ・リー
スティーブ・ブシェミ
イギー・ポップ
トム・ウェイツ
ジョー・リガーノ
ほか

(あらすじ　goo映画　）
待ち合わせして会ったのに、大して話もできず居心地悪そうなロベルトとスティーブン。ジョイ＆サンキ・リーは、変な顔の店員に付きまとわれる。イギーとトムはおかしな自説で禁煙を破り、パリでは、アレックスとイザックが「問題なし」の押し問答。メグとジャックは共鳴体の実験中で、ビル・マーレイは深夜のカフェでアルバイト。２人の熟練俳優は、撮影の合間にコーヒーとタバコで人生を祝う。取り留めのない会話でおくる、全11篇。

世界で「禁煙」が常識になっている昨今、気楽に一服出来ない愛煙家を喜ばせそうな、ジム・ジャームッシュ監督の短編集。もともと一話目は、1986年に「サタデー・ナイト・ライブ」のために作ったワン・シークエンス。そこから10年かけて撮り集め、独特のテンポでコーヒーとタバコの魔法を披露していく。ジャームッシュ組からは、ロベルト・ベニーニやスティーブ・ブシェミ、そしてトム・ウェイツ。ホワイト・ストライプスやイギー・ポップら人気ミュージシャン、ケイト・ブランシェットやビル・マーレイら実力派俳優も登場する。

「コーヒー＆シガレッツ」
両方とも健康のためにはあまりよくない。
ってことで最近は肩身の狭い思いをしてる人も多いんじゃないだろうか。

で、コーヒーとタバコのある場面ってなんだと考えたら
「会話のある場所」
となる。

この映画でも喫茶店が一番多く登場し、
ほかには個人の食卓での昼食後の1杯だったり、
ホテルのラウンジでの休憩の一時だったり。

どの話でも2人、もしくは3人でだけ話が進む。
その会話、間がなんともいえないリラックスした時間を作り出す。

1986年から少しずつ撮りためられ（第3話は1993年に上映されカンヌ映画祭の短編部門でパルムドールを受賞したという）、2002、2003年に何本か短編を撮りおろし、編集したという。
普通ならバラバラになりそうなところだけど、
そこはジャームッシュという人のこだわりが一貫していたためか（？）、
不思議と統一感がある。

いくつか好きな話をとりあげてみよう。

第2話　「双子」

ジョイ＆サンキ・リーは双子。
南部メンフィスのとある喫茶店でひまをもてあましているへんな顔の店員（へんだよ。だってスティーブ・ブシェミだもん（笑））につきまとわれる。
エルヴィスのすごさを語る彼に双子（彼らは黒人だ）は
「エルヴィスは黒人ミュージシャンから10ドルで曲を買っていた。
彼には興味ない」
と言い捨てる。

店員は「エルヴィスには実は生き別れの双子の弟がいた」
悪いことは全部そいつがやったというのだ。

この店員は話の間とか、双子に双子の悪いジンクスの話をするところとか
とことんズレている。

でも最後には・・・。
けっこう笑えるオチがつく。

第3話　「カルフォルニアのどこかで」

久しぶりに再会した2人（イギー・ポップとトム・ウェイツ）。
トムは「タバコをやめたからこうして堂々と吸える」
と奇妙な論理をふりかざし、吸い始める。
いつものペースになってきた2人はやがて・・・。

一見アブナそうなイギーよりも実はキレると
やっかいそうなトム・ウェイツ。
見てるだけで絵になる（決して美男ではない）2人。
2人とも実にうまそうにタバコを吸うのだ。

そしてちょっとした一言から
リラックスしていた2人が急に気まずくなる。

そんなときの一服は吉と出るか、凶と出るか。
見てのお楽しみ。

第6話　「いとこ同士」

ホテルのラウンジで待ち合わせたハリウッド女優とその従兄弟の売れないロック歌手。
実はこれはケイト・ブランシェットの1人2役なんだけど、
見事に演じ分けている。

はすっぱな歌手は、
親切な従兄弟になんくせをつける。
自分のボーイフレンドのCDを送ったといい、
「届いてないみたい」と聞くと
もう1度送るとも言わず、「届くわけないわ」
とつっぱねる。

「お金を持っている人のところにお金が行く。
本当に必要な人には戻ってこない。」
とからむ。

さらにその当座のCDを実は送っていなかったことにあとから気づく。

忍耐強い女優と我慢を知らない「貧乏な」従兄弟。
とても対照的だけど彼らは「イトコ」なのだ。

ラストもうまいオチ。

「コーヒー＆シガレッツ、それだけ？」
「身体に悪いことはやめたほうがいい」
このセリフが何回出てきたんだろう。

そのクセ、みんな吸いまくり、飲みまくりなのだ（笑）。

俳優たちも「ジャームッシュの映画なら」という感じ
で実に楽しげに演じている。

モノクロの画面も雰囲気いいし、音楽はジャームッシュならではのこだわりぶりだ。
彼のファンには楽しめる映画だと思う。

シネセゾン渋谷で上映中。全国順次公開予定。

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