白石 一文 / 一瞬の光
Book一瞬の光 | |
白石 一文
角川書店 2003-08 おすすめ平均 |
白石 一文さんのデビュー作。ただ思った以上にこれは重かったね。
38歳にして巨大企業の人事課長となった橋田浩介。深夜男に絡まれていたところを助けたことから短大生・中平香折と知り合う。激務の中、香折の見せる不安定さについつい援助の手を差し伸べるうちに浩介は自分の中でなにかが変わっていくのを感じる。
ネタばれしてしまうとこの香折という女性は幼いころから実の母親や兄から虐待、それもかなりひどい身体的なものを受けていて、男性に対する不信感にとらわれている。
浩介とは男と女の関係にはならないが(その歯止めなのか浩介には社長の姪である瑠衣という恋人ができる)、マンションを世話し、病院を紹介し、呼ばれればいつでも行くという、普通できないことまでどんどんしてしまうこの関係はなんなのだろう。
あぶなっかしくてほっとけない、のか。
それにしても途中の暴力描写はかなりすごくて、こういったマイナスの面でつながっている、惹かれている関係というのはちょっといびつな印象を受けた。
愛にはいろんな形がある、と言いたいのかも。
丸の内、飯田橋、青山、新宿、渋谷、池尻、駒沢と都内の各所が舞台となっていて土地勘のある人ならそのあたりでも楽しめるだろう。
(読了日 2006/12/26)
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