夜鴉おきん [新装版] 御宿かわせみ(12)
夜鴉おきん [新装版] 御宿かわせみ(12) 平岩 弓枝

文藝春秋 2005-06-10
売り上げランキング : 51741

おすすめ平均 star
star捕り物ではなく市井もの

Amazonで詳しく見る by G-Tools

第12巻。8編を収録。

「岸和田の姫」

代々木野(今の原宿近辺)に隠棲する老師を見舞いに訪ねる東吾と源三郎。
そこで友人の医者天野宗太郎と落ち合い、病人に精がつくからと鯉をもらいに金王八幡の百姓家へつかいに行くことになる東吾。
鯉を受け取った帰り、宇田川のほとりでまだ幼ささえ見える娘に声をかけられる。

この娘が岸和田の大名の姫で花姫といい、彼女の願いでお忍びの「大川端、深川めぐり」をプロデュースすることになる東吾だが・・・。

江戸版「ローマの休日」といった趣で、
原宿や渋谷のあたりの昔のひなびた様子もわかって面白い。

「江戸の田植え歌」

かわせみの女中頭お吉がこのところ気に入っているのが大川を下って野菜を売りにくる良吉。
安くて、質がいいのだ。

また千駄木坂下町の質屋、吉野屋の主人が愛人宅で亡くなり、東吾は相談を受ける。
やがて良吉の船が大川で転覆し、亡くなってしまうが、そこから良吉が件の愛人おけいの「おもいびと」だったことがわかる。

おけいは幽霊が出るからと吉野屋の別宅を自分に譲るよう迫るが・・・。

この回では亡くなってしまうのがいずれも男、
なんだかんだでしぶとく生き抜いてしまう女の強さに完全に負けている(苦笑)。

「源太郎誕生」

源三郎の妻お千絵が臨月となり、実家の蔵前に戻っている。
源三郎宅は火が消えたようになるが、その彼が風邪をひいてしまい、
お腹の大きくなったお千絵があわてて帰ってくる。

なにがいいってもう一人前になった子供の誕生時の様子を語る深川の長助のべらんめぇ口調が泣かせる。
「気になりませんや。自分の餓鬼でござんすからねぇ」とこれは夜泣きをあやした経験から。

ラストで源三郎の長男、源太郎の誕生が描かれる。

捕り物というよりも人情ものといった色彩が強い巻。
ただこういう展開でもしっかり面白いのはさすがだ。

(読了日 2007/3/17)







関連記事(試験運用中)

  • No related posts




  • コメント/トラックバック:0 個 »

    トラックバックURL: http://blackpepper.oops.jp/wp/archives/2006/trackback

    この記事にはまだコメントがついていません。

    コメントをどうぞ

    コメント、トラックバックは確認後に表示されます。しばらくお待ちくださいね。

    段落や改行は自動挿入です。メールアドレスはサイト上では非表示です。
    使用できる HTML タグ: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong>