ハイ・フィデリティ(2000年 / アメリカ)

ハイ・フィデリティ 特別版発売日 2004/07/23
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監督:スティーブン・フリアーズ
キャスト:
ジョン・キューザック(Rob)
イーベン・ヤイレ(Laura)
トッド・ルイーゾ(Dick)
ジャック・ブラック(Barry)
リサ・ボネー(Marie De Salle)
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(Charlie)
ティム・ロビンス(Ian)
ジョーン・キューザック(Liz)
リリ・テイラー(Sarah)

ニック・ホーンビイのベストセラー小説の映画化。
「音楽オタク」で人を愛することを知らなかった30代のダメ男が、
ガールフレンドが出て行ったことをきっかけに、あれやこれやの
騒動の果てに、前向きに生きていく力を手にする。

(あらすじ goo映画
30代のロブ・ゴードン(ジョン・キューザック)は中古レコード店を経営し、それなりに安定した独身生活を送っている。しかし、同棲していた弁護士の恋人ローラ(イーベン・ヤイレ)が突然出ていったのをきっかけに、これまでの辛かった失恋体験トップ5をリストアップするも、虚しいばかり。さらに、ローラに新しい恋人のイアン(ティム・ロビンス)がいることが判明するや、ペニー(ジョエル・カーター)やサラ(リリ・テイラー)やチャリー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)ら、失恋トップ5の女性たちを次々と訪ね、自分の何が問題だったのかと問いただしていく。そんな彼にとって、熱狂的音楽マニアのアルバイト店員、内向的なディック(トッド・ルイーゾ)と尊大なバリー(ジャック・ブラック)との会話、そして女性シンガーのマリー(リサ・ボネット)と知り合えたことはささやかな慰めになった。しかしロブはまだローラを愛しており、ローラも心が揺れていた。そんな時、ローラの父親が亡くなり、その葬式の帰りに二人はよりを戻す。そしてロブは、自分の店で前に万引きした2人組の少年のレコードを出そうとレーベルを発足し、ローラがそのデビュー・イベントを勝手に企画する。イベントは大いに盛り上がり、ロブは人生に対してポジティヴな姿勢を獲得するのだった。

ロブは本当にダメな男だ。
彼女が出て行ったときもその状況を直視しようとせず、
「失恋ベスト5」なんてものをでっちあげて、
ローラがベスト5には入らない、つまり自分は傷ついてなんかいないと
納得させようとする。

更にその「失恋ベスト5」の相手の下を訪ね、「あのとき自分はどうしてふられたのか」なんてことを尋ねまわる。不毛なやりとりでより自分を傷つけるのだが、ここで「自分には格が上過ぎた女」としてキャサリン・ゼタ=ジョーンズが出てくるのは面白いかな。また「4人目の女」を演じるジョーン・キューザックはジョンの実の姉だ。

原作と比較してみよう。
まず中古レコード店「チャンピオン・シップ・ヴァイナル」の店員、バリーとディックについて。
音楽を通してしか会話できない重度の「オタク」である2人。
特にディックは極度に口数が少なく、原作のイメージ通り。
バリーは強烈な役で、自分の信じる「ロック」を客に力説し、「ロックじゃない」客(例えば娘の誕生日にスティーヴィー・ワンダーを買おうとする父親など)を言い負かし、追い出してしまう。ジャック・ブラックがこの役をなんとも楽しそうに演じているけれど、彼は後半ライヴで(彼の基準からすると)「かっこ悪い」マーヴィン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」を熱唱する。
この演技は最近の「スクール・オブ・ロック」とあまり変わらない。
ちなみに「スクール・オブ・ロック」にもジョーン・キューザックが出ていた。

映画も小説もロブの「一人語り」で進行する。
これが思った以上に「うるさい」。
ジョン・キューザックの喋り方もオタク特有の一方的なものだし、
原作を読んでいないと唐突と思われるようなセリフが多い。
このあたりでダメな人にはダメなんじゃないかと思う。

マリーの役は「レコーディング・アーティストと親しくなって、彼らのライナーノーツや歌詞の一節に載せてもらうのが夢」のロブにとっては「夢」のような女性なんだけど。原作だと白人歌手だと思ってたのが、黒人(しかしすごい美人だ)だったのが意外。でも映画だとロブは彼女にはあまり深入りしない。

レコード屋の3人がなんにでも「ベスト5」をつけてしまうという設定、言っている内容は原作のままだ。
「アルバムA面の1曲目にふさわしい曲ベスト5」
「自分をふった歴代の女の子ベスト5」
「月曜の朝にふさわしい曲ベスト5」
「オールタイム・ベスト5(今までに聞いたことのある曲からベストを選ぶ。ロブが雑誌の取材で受ける質問)」
中でも
「自分の葬式にかけて欲しい曲ベスト5」
はひどくてローラのお父さんが亡くなったときにバリーが言い出す。

ロブが立ち直るきっかけは昔やっていたDJをやってみること。
元々ロブとローラが知り合ったのが彼のやっていたイベント(ロックのDJだった)。その頃のイキイキとしたロブを知っているローラが彼のために企画してやったのが終盤でのイベントというわけ。
バリーのやる「バンド」がお客を追い出すような凶暴なものになるんじゃないかと、ギリギリまで気をもむのも原作どおり。

High Fidelityというタイトルが長いこと気になっていたんだけれど「原音に忠実に再生された音」と訳すのがいいみたいだ。
これってJazzのレコード・ジャケットなんかにもよく書いてありますね。

忠実に再生、するための努力はまさにオタクのものだ。

サントラもロックが好きな人なら納得の出来。
「スクール・オブ・ロック」を気に入ったのなら、よりマニアックなこちらに手を出してみてもいいかもしれない。

ハイ・フィデリティ

僕はニック・ホーンビイからして好きです(爆)。

原作小説(新潮文庫版)

ハイ・フィデリティ







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