アカデミー賞ではこの作品と「ミスティック・リバー」それに「コールド・マウンテン」が有力で場合によっては「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」がからむことになりそうとの下馬評ですね。

シービスケット(2003年 / アメリカ)

seabiscuit.jpg

写真をクリックすると公式サイトにジャンプします。

「シービスケット」という馬をめぐる男たちの絆を描く作品といってもいいかな。
1929年の世界恐慌が背景になっていて登場人物たちの暮らしにもそれは影を落としている。

自動車の車軸職人から車の販売を始め、大富豪となったハワード(ジェフ・ブリッジス)。幸福を手に入れた彼だったが、息子を事故で失い、悲嘆の中妻とも別れる。そんな中彼に「気晴らし」として薦められたのが競馬の馬主になることだった。

恐慌により父の事業がつまづき、一家離散の運命をたどったレッド(トビー・マグワイア)。父から受け取ったディケンズなどの古典文学を生きる糧に、彼が選んだのはジョッキーの道だった。厳しい訓練、ジョッキー同士のむき出しの駆け引きに「最後までやりきれない」彼はなかなか勝利に恵まれない。

誇り高いカウボーイもいまや時代遅れ。サラブレッド育成で結果を出さなければあとがない牧場主トム・スミス(クリス・クーパー)。

この3人を結びつけたのが、「勝てない馬」シービスケット。
シービスケットは幼い頃訓練を受けず放置されたため、性格は
わがままで人に対して獰猛。
「扱いづらい馬」だがトムとレッドはこの馬に賭ける事にし、
ハワードはそれをサポートすることにいつしか喜びを感じるように
なっていった。

競馬のシーンが本当に美しい。
馬上後方からの俯瞰で撮っているレース・シーンは
「ほんものの迫力」に満ちている。
そこで行われるバトル、駆け引きが熾烈であればあるほど、
サラブレッドの美しさが際立っているような気がする。

西部の農場の牧歌的でノスタルジックな美しさも堪能できる。
シービスケットは恐慌期に勝てないながらも大変な人気を博した
実在の馬だそうでこの原作は400万部を超えるベストセラーだそうだ。

話もどこかに欠陥をかかえた男たちが欠点だらけの「傷だらけのサラブレッド」
を信じてそれに夢を賭けていくというわかりやすい話だ。
単純にいい話だと思う。それにランディ・ニューマンの音楽がまた涙腺直撃系で反則物の良さときている。

馬もそうだけど、ハワードが財を成すきっかけがautomobile、それもあのフォードT型だということ、彼の息子が亡くなるのも幼い頃から教えた車による事故、とアメリカ人の「移動すること」車やそれらのモノそのものへの愛着もよく伝わってくる。
すごく保守的な気もするけど、そういう意味でもよくできている。

でも「コールド・マウンテン」もやっぱ観たいかな。
僕の好みはもうちょっと若向きのです。
この映画でもトビー・マグワイアが一番いい。







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