プラナリア
山本 文緒

発売日 2000/10
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直木賞受賞作。
「プラナリア」「ネイキッド」「どこかでないここ」「囚われ人のジレンマ」「あるあるあした」の5篇を収録。

「プラナリア」
乳ガンで胸を切除してからどうにも積極的になれない春香。
年下の恋人豹介の友達の前でも露悪的に病気の話をして
「お前いい加減にしろよ」と怒られてしまう。
ヒルのような生き物プラナリアになりたいとつぶやく彼女は
数少ない理解者をも傷つけて、なおもそのことで
自分をより傷つけてしまう。
豹介も、病院で知り合ったさっぱりしていてかっこいい永瀬さんという女性も。

なにかのきっかけで「幸せじゃないサイクル」に入ってしまうことってあるのかもしれない。
多くの場合、それは本人の感じ方のある「クセ」のようなものが
問題になってくるんだろうけれど、まわりからみればごく当然の
そんなことが「見えない」人を突き放しもせず、べったりとでもなく
描いている。

山本文緒は「かっこつけない人」だと思う。
ことさらに騒ぎ立てたり、えらぶったりしなくても、「孤独」のつらさ、せつなさ、
を充分に表現できる。
落ち着いているし、安心して読める。

それとこれも気に入っている点なんだけど、男の書き方がとても自然だ。
妙に想像で美化もせず、隣にいる存在としてごく普通に書いてくれる。
宮部みゆきさんもそうだけれど、男性が主人公でも
「いねーよ、こんな男」という感じじゃなくて
ごく自然に受け入れられる感じに描いてくれるのがうれしい。

(読了日:2004/01/18)







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