十三歳の仲人
十三歳の仲人 平岩 弓枝

文藝春秋 2007-04
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第32巻。8編を収録。

「十八年目の春」

外桜田の平川町にある2軒の老舗菓子屋、丸屋と老松屋はとなりあっていたが、3代前からの確執があった。うち丸屋の蔵の地下から200年前のものと思われる白骨が見つかるが、老松屋の主人銀蔵からこれは18年前に失踪した自分の娘の骨に違いないと訴えがあり、話題になる。

銀蔵の娘おそのは実は丸屋のあととり新兵衛と当時かけおちしてのだが、その理由というのが両家の不仲であったという。その後子供も生まれたが両人とも実家には連絡をいれず、縁を絶っていた。当人同士にしかわからない「負の感情」というもののおそろしさを考えさせられる1本。

「成田詣での旅」

おるいの茶の湯の先生である楓月の願いで成田山新勝寺に詣でることになり、
ツアーを企画した深川長寿庵の長助の手腕であっという間に10数人の大所帯となる。
おるいは千春に嘉助、畝源三郎の家族らと同行するが、この旅で一緒の料理茶屋辰巳屋の女番頭、お篠というものの元へ横浜に行っていたという幼馴染が現れる。彼はお篠に結婚を申し込むが、あわてた辰巳屋の主人新兵衛がお篠と夫婦になることを皆に告げる。

「くされ縁」ではないけれどなにかのきっかけでポーンと縁が、ということも。
オチも含めて軽く楽しめる話。

ただこのところ単に「旅に行く」というネタが多いような・・・。

「お石の縁談」

「かわせみ」の女中お石に縁談話が舞い込む。相手はかわせみに出入りする炭や薪を商う奥津屋のあととり仙太郎。2人は「お見合い」するが、どうも煮え切らない仙太郎の態度にお石は乗り気になれない。

この話自体は思わぬ不幸もあり流れてしまうのだが、この回でお石のほんとの相手が登場する。深川の大工で名人といわれた源太の息子、小源で若いころはかなりの不良だったそうだが腕もきっぷもよく、周囲の信頼も得ている。
この巻ではこの2人のなれそめから婚姻までの紆余曲折が描かれる。
「代々木野の金魚まつり」「十三歳の仲人」(麻太郎が2人の仲人となる)がそれである。

「御宿かわせみ」のシリーズも文庫版のほうは既刊分これで追いついてしまった。
単行本ではこのあと「小判商人」「浮かれ黄蝶」と続き、現在明治時代を舞台にした新シリーズが連載中だという。

(読了日 2007/5/30)







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